【パラリンピアン支える力】イベント運営も自前で 画期的なボランティア講座

[ 2016年9月14日 10:05 ]

 パラアスリートへの注目度が高まるとともに、社員として雇用する企業は確実に増加傾向にある。その中で独自の姿勢が目立つのが三菱商事だ。リオ大会には車いすラグビー代表の池崎大輔、今井友明を送り込んでいるが、選手の生活基盤を支えるのは、その活動の一端でしかない。

 64年東京パラリンピックの日本選手団長を務めた故・中村裕(ゆたか)博士と共鳴し、障がい者の自立をうながす社会福祉法人「太陽の家」(大分県別府市)に支援を始めたのは79年にさかのぼる。83年に同所に三菱商事太陽を設立すると、91年からは「大分国際車いすマラソン」への協賛をスタート。現在も新人を含めた多くの社員がボランティアとして参加している。

 長いパラスポーツ支援の中で、新たな歴史が刻まれたのは14年だ。新生・三菱商事60年を記念した事業として立ち上げたプロジェクト「DREAM AS ONE.」では、社員だけでなく外部からも希望者を募り、多くのイベントを手掛ける。ボランティア養成講座は、座学と実際の大会サポートをセットとして2年弱で6回開催。パラスポーツの体験会や障がいがある児童対象のスポーツ教室も開催している。各地に派遣されたボランティアは昨年だけで2271人に上る。

 各プロジェクトは予算だけを負担し、既存のイベント運営会社に任せるのではなく、三菱商事内部の複数部署がアイデアを出し合い、実際に運営することに特色がある。同社の環境・CSR推進部社会貢献チームの平野裕美さんは「スポーツは障がい者の方々を身近に感じる機会。相互理解が進むきっかけになる」と未来図を描いた。

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2016年9月14日のニュース