稀勢、綱取りへ痛恨1敗も運味方 救いは白鵬も照も土

[ 2016年7月15日 05:30 ]

栃煌山に突き落としで敗れ、初黒星を喫した稀勢の里

大相撲名古屋場所5日目

(7月14日 愛知県体育館)
 綱獲り大関が幸運に恵まれた。稀勢の里は平幕・栃煌山に突き落としで敗れて初黒星を喫したが、続く一番では横綱・白鵬も平幕・宝富士に敗れて11個目の金星配給となり、春場所からの連勝が33でストップした。カド番大関・照ノ富士にも土が付き、横綱、大関の勝ちっ放しはいなくなった。全勝は平幕の逸ノ城ただ一人で、1敗は11人。初優勝が横綱昇進の条件となる稀勢の里は、最大の敵の白鵬と同じ勝ち星をキープしたまま仕切り直しとなる。

 初黒星を喫しても、稀勢の里の綱獲りの可能性はしぼまなかった。悔しさをかみ締めながら引き揚げたが、風呂から上がって支度部屋に戻ってくると白鵬にも土がついていた。全勝の横綱も敗れたことを聞かされると「集中して、また明日からですね」と険しい表情で答えた。

 栃煌山戦はイメージ通りの相撲が取れなかった。4日目までは得意の左四つに組み止め、全く危なげなく白星を重ねたが、この日はつかまえきれなかった。ならばと突っ張って勝機を探ったが、張り手も及ばなかった。土俵際で回り込まれると、勢い余って横転しながら西土俵下に落ちた。この日の朝稽古では右を固めてくる栃煌山を意識した立ち合いの確認を行い「しっかりやろうと。何があるか分からないから一生懸命やる」と話していたが、対策は実らなかった。

 関脇以下に取りこぼしたのは今年初場所以来3場所ぶり。痛恨の黒星だが、優勝のチャンスは消えていない。土俵下で取組を見ていた藤島審判長(元大関・武双山)は「左を差せなかったので慌てたんじゃないか。突っ張るのか差すのか中途半端に攻めていた」と指摘しながらも、優勝の可能性については「1敗だから、まだまだこれからじゃないか。全勝は1人だから」と話した。

 5日目までに横綱、大関の全勝がなくなったのは昨年夏場所以来7場所ぶり。その場所では関脇だった照ノ富士が12勝3敗で初優勝を果たし、場所後に大関に昇進している。混戦場所は綱獲り大関にとって、望むところだ。「切り替えて、あした頑張ります」。ライバルの黒星に助けられた形だが、運も実力のうち。稀勢の里の夢は簡単には終わらない。

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2016年7月15日のニュース