逸ノ城 1年ぶりの金星!先場所から禁酒、ダイエットにも成功

[ 2016年5月11日 05:30 ]

逸ノ城は日馬富士を長い相撲の末に寄り切る。これには林家ペー、パー子夫妻も大喜び

大相撲夏場所3日目

(5月10日 両国国技館)
 平幕・逸ノ城が横綱・日馬富士を寄り切って2勝1敗で白星を先行させた。長らく伸び悩んでいた“モンゴルの怪物”が、小結だった15年夏場所以来1年ぶりに横綱を撃破。同年春場所以来となる自身3個目の金星を挙げ、ついに弱い自分に打ち勝った。上位陣では白鵬と鶴竜の2横綱はともに3連勝。大関・照ノ富士には土がついたが、他の3大関は全勝を守った。

 悩める怪物がようやく目を覚ましたか。211キロの巨体を揺らしながら逸ノ城が日馬富士の突き押しを受け止める。横綱に組まれて半身となっても大木のような太腿は焦らずどっしり。その後「なんかやろうと思った」と巻き替えで優位な体勢をつくり、立ち合いから実に1分34秒後に自ら前に出て寄り切った。昨年夏場所初日の白鵬戦以来1年ぶりの横綱戦白星。「座布団が急に飛んだんで。久しぶりに。これが結びか」と、その感覚すら忘れていた。

 2年前の秋場所に新入幕で13勝を挙げ、一気に関脇に昇進して一世風靡(ふうび)。だが、心の弱さから暴飲暴食を繰り返し、その後は伸び悩んだ。新入幕時は199キロだったが、ぶくぶく太って昨年末に214キロまで増加。増える一方の体重とは対照的に番付はウソをつかずに降下した。

 弱い自分にサヨナラを告げたい――。そんな思いから西前頭11枚目まで落ちた先場所から禁酒に取り組んだ。早速、その効果は出始めて11勝4敗。以前は場所中も400ミリリットルのグラスビールを計11杯飲み干すなど酒豪で知られたが、今場所も番付発表後から一滴も飲んでいない。4月の春巡業中も連日のように朝稽古で積極的に土俵に上がって稽古を重ね貴乃花巡業部長(元横綱)からも「毎日良くなっている」と褒められた。体重も211キロと少しだけダイエットにも成功した。

 自身3つ目の金星獲得で白星を先行させ、上昇気流に乗ったかどうかは「まだ分からない」と言う。だが「今までだったら横綱に押されたらすぐに引いて下がっていた」と以前とは違う自分とは出会えた。35本(手取り105万円)の懸賞金も「貯(た)めます!」と一言。悩みから解放された怪物の表情は実にすっきりとしていた。

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2016年5月11日のニュース