また「ブルームフォンテーンの悲劇」…サンウルブズ大敗7連敗

[ 2016年4月17日 05:30 ]

チーターズの攻撃に耐えるサンウルブズ・大野(中央左)

 第8節が行われ、サンウルブズは敵地でチーターズに17―92の大敗を喫し、開幕7連敗となった。92失点、75点差、14失トライは、いずれもスーパーラグビー(SR)史上ワースト3位以内に入る屈辱的な敗戦。95年のラグビーW杯で日本代表がニュージーランド代表に17―145のW杯史上最多失点で敗れた地で、「ブルームフォンテーンの悲劇」が繰り返された。チームは4試合連続の海外遠征を終え、17日に帰国する。

 ベンチでノーサイドを迎えた堀江主将は、へたり込むようにしばらく立ち上がることができなかった。どの選手の顔にも疲労が色濃く浮かぶ。4試合続いた海外遠征の最後は、92失点の屈辱的大敗。堀江は「一発で(抜かれてトライを)取られたところが多かった。一からやり直すしかない」と声を絞り出した。

 チーターズとは3月12日にシンガポールで対戦。遠征だった相手がメンバーを落としていたとはいえ、31―32と接戦を演じた。2度目の対戦はリベンジの場となるはずだったが、結果は最悪だった。前半3分にSOピシのPGで先制したが、その後は相手の波状攻撃に守備が崩壊。マーク・ハメット・ヘッドコーチ(HC)は「標高が高い(1400メートル)会場での試合は先手を取らないと点差をつけられる。新規参入のチームでこういう試合も覚悟はしていた。非常にいい教訓になった」と前向きだが、ここ2戦は完敗。初勝利への手応えはなくなりつつある。

 開幕当初は先発15人を固めて連係や戦術を磨き2日のキングズ戦までの5戦で7点差以内の敗戦が3度あった。しかしWTB山田やプロップ稲垣(ともにパナソニック)ら主力がケガで離脱。前半8分にピシからWTBパエアへのパスをインターセプトされて独走を許した場面や、同20分のマイボールラインアウトをターンオーバーされてトライにつながれた場面など、連係ミスによる自滅からの失点が目立った。選手契約や開幕前の準備など、さまざまな遅れの弊害が一気に表出した。

 堀江主将は試合後、選手に「今はきつい坂道。一人でも落ちたら全員転げ落ちる。しっかり山頂を見よう」と呼びかけたという。21年前の「ブルームフォンテーンの悲劇」は、その後のラグビー人気の低下を招いた。同じ過ちを繰り返さないためにも、選手は戦い続けるしかない。

 ▽ブルームフォンテーンの悲劇 95年の南アフリカ大会で3大会連続のW杯出場となった日本代表は、1次リーグC組でニュージーランド、アイルランド、ウェールズと同組に。連敗後に臨んだのが6月4日のニュージーランド戦。21トライを奪われ、17―145の大敗を喫した。145失点はW杯の史上最多記録で、128点差は同2位の記録として現在も残る。

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2016年4月17日のニュース