モスクワ検査所所長が辞任 薬物汚染を助長

[ 2015年11月11日 23:22 ]

 ロシアのムトコ・スポーツ相は10日、組織的なドーピングで世界反ドーピング機関(WADA)から認定を取り消されたモスクワの検査所のロトチェンコフ所長が辞任したことを明らかにした。タス通信などが報じた。事実上の解任とみられる。

 WADA第三者委員会が9日に発表した調査報告書によると、ロトチェンコフ氏は1400を超える検体を廃棄し、違反隠し目的の賄賂を受け取っていた。薬物汚染を助長した人物として永久追放を求められていた。

 第三者委はロシア陸連の資格停止を国際陸連に勧告し、同国が来年のリオデジャネイロ五輪に出場できない可能性が浮上している。プーチン政権は調査結果に「根拠がない」と反発。一方で五輪出場が禁じられた場合、スポーツによる国威発揚に力を入れるプーチン大統領にも痛手となるため、改善に取り組む姿勢も示したとみられる。

 ロシアのオリンピック委員会は11日、違反を犯した選手には厳しい処分が必要だとしながらも、無実の選手が国際大会参加資格を失うべきではないと国際オリンピック委員会(IOC)や国際陸連に呼び掛ける声明を出した。個人的な問題にとどめ、ロシア全体への処分を回避したい考えとみられる。

 国際陸連はロシア選手の出場停止などの処分を協議する臨時理事会を13日にモナコで開くことになった。11月末に理事会を予定していたが、緊急の会議を開いて迅速に対応することにした。

 ロシア陸連のゼリチェノク会長はタス通信に「議題は一つ。ロシア選手の国際大会参加やロシア陸連の資格だ。緊急を要する理由は不明だが、どんな決断にもアピールする権利がある」とした。

 欧州陸連はフランクフルトで開いた理事会で、国際陸連のコー会長を全面支持する方針を表明した。(共同)

続きを表示

2015年11月11日のニュース