渡辺雄太がダンク連発する理由 米国で学んだ2つの意味

[ 2015年7月15日 09:30 ]

ジョージ・ワシントン大でプレーする渡辺雄太(AP)

 6月15日に始まったバスケットボール男子日本代表の第1次強化合宿。9月23日開幕のアジア選手権(中国・長沙)を目指す27人の候補選手が選ばれた。全体的に硬さが見られた合宿初日。その中でダンクシュートを連発する男がいた。NCAAで活躍するジョージ・ワシントン大1年の渡辺雄太(20)だ。

 2メートル3センチ、88キロ。日本人離れしたスタイルと小さく爽やかな顔立ちは、プロ野球・日本ハムの大谷翔平(21)をほうふつさせる。アップ段階での俊敏な動きに魅了され、期待感が膨らんだ。ボール練習に移ると、ほとんどの選手はレイアップでシュートをするが、渡辺はただ1人、当然のようにダンクを決めた。1次合宿のメンバーでは最年少だったが、遠慮はない。将来を背負う覚悟があるからだ。

 香川県木田郡出身。両親はかつて実業団チームに所属し、母・久美さんは日本代表で活躍。尽誠学園高を2年連続全国2位に導き、ベスト5にも選ばれた。高校卒業後、13年9月に渡米。「これから後にどんどん続いてもらえればと思って米国を目指した」。渡辺の挑戦は、単に自分のためだけのものではなかった。

 精度の高い3ポイントシュートなど得点力を売りに昨年ジョージ・ワシントン大に進学。ベンチメンバーの中で特に重要な選手であるシックスマンとして活躍した。NCAAでプレーする日本人は渡辺で4人目。狭き門ではあるが、1年目から米国人と互角に渡り合い、日本人の常識を覆した。

 「向こうでは練習でレイアップをしていたら怒られる。なぜダンクをしないんだと。ダンクはシュートの中で決まる確立も高い。先頭切ってやることでムードが高まる。意識的にダンクして練習を盛り上げたいと思っていた」。アピールしなければ生き残れない世界。時にはチーム同士でケンカになり、ぶつかり合う時もあるという。合宿初日のダンクシュートには米国で学んだ2つの意味が込められていた。

 2週後に再び公開された第2次合宿。チームの雰囲気はガラリと変わっていた。ダンクを決める選手が増え、大きな掛け声が飛びう。長谷川健志ヘッドコーチは「周りもダンクをやり出した。チームも盛り上がる」と渡辺効果を実感。そして、「高さ、スピード、リバウンドに対する反応が素晴らしい」と評価した。NBAに一番近い日本人と称されるが、世界の扉をこじ開ける力が渡辺にはある。世界最高峰への挑戦は夢物語で終わらない。(宗野 周介)

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