上位陣コケた 最終日70も久保谷6差逆転V

[ 2012年10月15日 06:00 ]

<第77回日本オープンゴルフ選手権>安西・日本ゴルフ協会会長から優勝ブレザーを着せてもらう久保谷健一

男子ゴルフツアー 日本オープン最終日

(10月14日 沖縄県八重瀬町 那覇ゴルフ倶楽部=7176ヤード、パー71)
 6位で出た久保谷健一(40=フリー)が大逆転で、ツアー通算6勝目となる大会初制覇を果たした。この日は1イーグル、3バーディー、4ボギーの1アンダー70で回り、通算8オーバー。ジュビック・パグンサン(34=フィリピン)がラスト2ホールで3つスコアを落とし、大会タイ記録となる6打差逆転Vを決めた。73年のツアー制度施行後では、尾崎直道が通算10オーバーで優勝した99年大会に次ぐ史上2番目に多いスコアでの優勝となった。

 アテスト会場を出た久保谷には帰り支度しか頭になかった。ホールアウトした時点で2打差の2位。来季賞金シード獲得が見え「今週はよくやった」と満足感に浸っていた。ところが、関係者が前に立ちはだかった。

 「帰れませんよ。(首位の)パグンサンが17番で池ポチャです」

 「またまた~」

 8オーバーで久保谷と並んだパグンサンは18番でもボギー。昨年敗れたプレーオフに備え、練習グリーンにいた久保谷は、優勝が決まると「本当ですか?」と聞き返し、佐々木孝英キャディー(40)と抱き合った。

 「(棄権を含めて7試合)予選落ちが続いて。先週通ったと思った矢先にこんなことが起きるなんて。まさにミラクル」と目を丸くした。

 台風接近による強風、深いラフの難条件で上位選手がに苦しむ中、最終日に1アンダー。無謀に攻めず「ダボを打たない」という目標を守り続けた。4日間ダブルボギーなしは上位で久保谷とI・J・ジャンのみ。安定感も大会タイ記録となる6打差逆転Vの要因となった。ショットも好調で、8番はグリーン左のラフからウエッジで直接カップイン。10番も残り196ヤードの第2打がピンに当たってイーグルとなった。

 会見では「僕が優勝しちゃ、まずいっすよ」と、マイナス発言を繰り返した。ボヤキの本領発揮だ。だが、この男には、ボヤキと同じぐらい有名なことがある。ツアー随一の練習の虫なのだ。

 前日も最後の1人までボールを打ち続け、終わったのは暗闇の午後6時30分だった。昨年、ベサンムンにプレーオフで敗れてから1年。努力が報われたか、との問いに「神様が見てくれたんだな、としか思えない」。ボヤキっぱなしの40歳が、この時ばかりは誇らしい顔になった。

 ◆久保谷 健一(くぼや・けんいち)1972年(昭47)3月11日、神奈川県生まれの40歳。練習場を経営する父の影響で10歳からゴルフを始める。明大を経て、95年にプロ転向。ツアー通算6勝。メジャーは02年の日本プロに次いで2勝目。1メートル74、70キロ。趣味は子育て。

続きを表示

2012年10月15日のニュース