女子大生・成田美寿々が初V 念願ミズノクラシック切符

[ 2012年10月15日 06:00 ]

初優勝に大江キャディー(左)と並んでポーズの成田

女子ゴルフツアー 富士通レディース最終日

(10月14日 千葉県千葉市 東急セブンハンドレッドクラブ西コース=6635ヤード、パー72)
 ツアー1年目の成田美寿々(フリー)が20歳のバースデーウイークをツアー初優勝で飾った。5打差の8位から出て5バーディー、67で回り通算9アンダーで大逆転。スポニチ主催ミズノクラシック(11月2日開幕、近鉄賢島CC)の出場権を獲得し、次戦のスポニチ主催マスターズGCレディース(19日開幕、マスターズGC)にも弾みをつけた。首位スタートの穴井詩(24=雄山)は74とスコアを落とし、2打差の2位。今大会後の賞金ランク上位35人がミズノクラシックの出場資格を得た。
【最終R成績】

 涙の一切ない、笑顔のはじける優勝だった。ホールアウトした成田は最終組の結果をグリーン脇で見届け、キャディーやプロ仲間らと抱き合って喜んだ。8日に20歳になったばかりで20歳6日での勝利は9番目の年少記録。「バースデーウイークで勝ててうれしい」と胸を張った。

 穴井とは昨年の予選会で回って以来、成績の悪かった方が「恥ずかしい」というスカート姿になる罰ゲームをしてきた仲だ。この日はゲームこそなかったが、息詰まる接戦を終盤でものにした。16番のバーディーで穴井に並び、迎えた17番パー3。2Uでピン奥5メートルにつけるとこのパットをねじ込んだ。左手で高々とパターを掲げ、右手でガッツポーズ。「ここで抜いた」。勝利を確信した瞬間だった。

 日体大2年ながら予選会26位で今季の出場資格を獲得。今年3月に休学してゴルフ一本に打ち込み、250ヤードの飛距離と巧みなパターを武器に頭角を現してきた。市原市出身で地元・千葉で戦う今大会。実家からコースまで送り迎えしてくれる両親に「どうしても勝ちたい」と語っていたという。11月のミズノクラシックに出場するには大会終了時点で賞金ランク上位35人に入ることが条件。前週までのランクは55位で、優勝しかない状況に「今週初めから狙っていた」。

 プロになると決めた時に目標に掲げたのが「スポーツの頂点である五輪で金メダルを獲ること」と「世界ランク1位のヤニ・ツェンに勝つこと」だった。世界のトッププロが集うミズノクラシックは16年リオ五輪の金メダルに向け、自分の実力を知るには最高の機会となる。

 父・俊弘さんは「20歳になったし、頭からお酒をかけてあげたいくらいうれしい」と笑ったが、成田は15日はトレーニングを行い、16日には2週連続優勝の懸かるマスターズGCレディース(兵庫・マスターズGG)に向け移動する。世界一を目指すニューヒロインは立ち止まることなく突き進む。

 ◇ミズノクラシック出場権 日本ツアーメンバーは富士通レディース終了時点での賞金ランク上位35人までが出場資格を得られる。4位のフォン・シャンシャン、10位の朴仁妃は米ツアーの資格で出場するため、37位の選手まで繰り下がった。大会には米ツアーメンバー43人と合わせて計78人が出場する。

 【成田美寿々(なりた・みすず)アラカルト】

 ★生まれ&ゴルフ歴 1992年10月8日、千葉県市原市出身の20歳。1メートル67、60キロ。小学6年でゴルフを始めたが、中学時代も週に1度、ゴルフスクールに通う程度。ソフトボールに汗を流した。中学3年でゴルフの千葉県大会で「たまたま3位に入った」ことで、拓大紅陵高に進学。昨年、日体大に進んだものの、今年3月に休学した。

 ★武者修行 日体大1年の6月にプロで戦う覚悟を決めたが、プロテストに不合格。その後にプロ宣言をしてしまったため、昨年9月から今年の1月まで「インターネットで調べてアジア女子ツアーの台湾の4試合に出場した」。

 ★スカート罰ゲーム 昨年のツアー出場権を懸けた予選会で親しくなった穴井とはお互い「恥ずかしくて履きたくない」というスカート姿をかけて成績を競い合う。成田は今大会初日にニトリ・レディースで負けたためスカートでプレー。この日は穴井に勝負を持ちかけられたが断った。

 ★家族 土建業を営む父・俊弘さん(57)と母・和子さん(57)。航海士の兄・彰弘さん(26)。学生時代にゴルフ部だったという俊弘さんは成田のシャフトを自ら差すほどで、成田は「クラブのことは父に聞いてください」。

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2012年10月15日のニュース