米満 銀メダル!金ならずも“お家芸”に新たな光

[ 2011年9月19日 06:00 ]

男子フリー66キロ級で決勝進出を決めた米満達弘

世界選手権最終日 男子フリー66キロ級

(9月18日 トルコ・イスタンブール)
 男子フリー66キロ級決勝で米満達弘(25=自衛隊)がメディ・タガビ・ケルマニ(イラン)に敗れたものの、銀メダルを獲得した。男子フリーで日本勢が世界選手権の決勝に進出するのは95年大会62キロ級の和田貴広(現国士舘大コーチ)以来、16年ぶりで、一気にロンドン五輪の金メダル候補に躍り出た。同74キロ級の高橋龍太(29=自衛隊)、同120キロ級の荒木田進謙(23=専大ク)はともに2回戦で敗退した。

 米満が歴史的な快挙を逃した。決勝では09年王者のケルマニに敗れ、銀メダル。昨年のアジア大会決勝のリベンジを許し、唇をかんだ。だが、男子フリーで16年ぶりの決勝進出を果たした25歳が、五輪で過去19人が20個の金メダルを獲得した“お家芸”に新たな光となったことは確かだ。

 初戦となる2回戦でモンゴル選手、3回戦でポーランド選手を撃破した。準々決勝では昨年銅メダルのハサノフ(アゼルバイジャン)も2―0で退けた。準決勝は今年の欧州選手権2位のバザン(ブルガリア)戦。この時点で五輪出場枠となる5位以内が確定していたが、攻撃の手を休めることはなかった。2ピリオドを連取して、決戦に臨んだ。

 想像を超える柔軟な体と、生まれ持った腕の長さ。中学時代に始めた柔道では3年で県王者。山梨・韮崎工で出合ったレスリングで、その格闘センスが開花した。競技開始3年で国体制覇。拓大に進学後も学生タイトルを総なめにした。自衛隊入隊後の09年には左肩を負傷しながら世界選手権に初出場。いきなり銅メダルを獲得した。

 その後は肩のリハビリで半年間、マットから離れるなど、ケガに泣いた。今年7月末には右肘じん帯を損傷。1カ月以上も本格的な練習ができない状態が続いた。しかし「左手だけで練習したので、左の使い方がうまくなった」。前向きな姿勢も武器となった。五輪最後の金メダルは88年ソウル五輪フリー52キロ級の佐藤満・現男子強化委員長。その下で世界のトップに躍り出た25歳は、万全の態勢で臨むロンドン五輪で新たな歴史に挑むことになる。

 ◆米満 達弘(よねみつ・たつひろ) 1986年(昭61)8月5日、山梨県生まれの25歳。韮崎工でレスリングを始め、3年時はグレコローマンで国体制覇。フリースタイルはインターハイ2位が最高。拓大4年時の世界学生で優勝し、学生2冠も達成。全日本選手権も初制覇し、翌年の世界選手権代表に選ばれた。昨年の世界選手権は23位と沈んだが、アジア大会は日本男子フリーとして16年ぶりの金メダルを獲得した。1メートル68。ブルース・リーのファン。

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