稀勢の里 初の全勝ターン!Vで大関あるかも

[ 2011年9月19日 06:00 ]

雅山(右)を引き落としで破った稀勢の里

 稀勢の里が雅山を引き落として下し、中日での勝ち越しを決めた。大関昇進の目安となる三役3場所33勝に到達するには、今場所全勝する必要があるが中村審判長(元関脇・富士桜)は、今後の活躍次第で可能性があることを明言した。9日目は把瑠都と対戦する。琴奨菊は同じ関脇の鶴竜に寄り切られ初黒星を喫した。白鵬が全勝を守り、横綱と稀勢の里を1敗の琴奨菊と臥牙丸が追う展開となった。

【取組結果】

 目覚め始めた大器の勢いが止まらない。ここまで無敗の稀勢の里は、元大関の雅山を、立ち合いから重い突っ張りで土俵際まで追い込み、最後は冷静に引き落とした。「相手は土俵際がうまいので、じっくり見られて良かった。まあどうなんでしょう。相撲的には…」。連勝を8に伸ばして集中力が高まってきたのか、自身初のストレート給金にも表情は険しいままだった。

 茨城県牛久市の実家では、父・貞彦さん(65)も落ち着かない日々を送っている。4日目に地元後援会の有志約70人が国技館に応援に出向いた。その時に「一緒に行こう」とメンバーに誘われたが、「行ったら負けるかもしれないので静かに見ている」と遠慮した。それでも、貞彦さんの影響で物心ついた時から相撲中継を見て育った息子の今場所の活躍には「ゆっくりゆっくり成長してきた。もし優勝争いとかをするようになったら行くかもしれない」と期待を膨らませている。

 協会関係者からも稀勢の里には熱い視線が注がれている。大関昇進には直近3場所で33勝以上が目安になるが、ここ2場所では18勝。しかし、中村審判長は大関昇進について「可能性はある。上とどんな相撲が取れるか。盛り上がったらそういう雰囲気になる」と話した。先場所、引退した元大関・魁皇の浅香山親方も「強い。立ち合いから攻めている。これからが大事」とエール。放駒理事長(元大関・魁傑)も「相手の動きがよく見えている。力を十分見せている」と評価していた。

 日本人の三役以上の中日勝ち越しは07年秋の安美錦(当時関脇)以来。「悪くない」と控えめに前半戦を振り返った“中卒叩き上げ”の25歳は、9日目の把瑠都戦に向けて「思い切りいきたいですね」と静かに闘志を燃やした。

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2011年9月19日のニュース