大記録目前で3連敗も…魁皇、休場は「考えていない」

[ 2011年7月13日 06:00 ]

鶴竜(右)に押し倒しで敗れる魁皇

大相撲名古屋場所3日目

(7月12日 愛知県体育館)
 千代の富士に並ぶ史上1位の通算1045勝にあと1勝としている大関・魁皇(38=友綱部屋)は関脇・鶴竜(25=井筒部屋)に敗れ、初日から3連敗を喫した。勝負をかけた立ち合いで一度“待った”があったこともあり、流れを崩してあっけなく押し倒された。快挙達成を目前にして休場の危機に立たされることになったが、取組後の支度部屋では4日目の豊ノ島戦も土俵に上がる決意を示した。
【取組結果】

 制限時間いっぱいを迎えた仕切り。魁皇は少し立ち遅れたが、左から突き落としを繰り出し、鶴竜のバランスを崩した。この一番をさばく行司の式守伊之助は一瞬「はっきょ…」と声を漏らしたが、その直後にやはり立ち合いが合っていないのを考慮して「待った」と宣告。仕切り直した2度目の立ち合いで魁皇はふわりと立ち、鶴竜の重い突っ張りにズルズル後退。最後は無残にも腰から砕け落ち、苦悶(くもん)の表情を浮かべた。

 「相手に合わせてしまった。作戦とかはないけど(仕切り直しで)相撲の流れは変わったな…」

 この日も土俵の神様は魁皇に味方をせず、1045勝はお預け。勝負事において“たられば”は存在しないが、鶴竜は1度目の立ち合いについて「完全に後ろにつかれるところだった。助けられた?それはある」と断言。腰と膝のしびれなど全身ボロボロの38歳は立ち合いに全精力をかけていただけに、悔やまれる一番となった。

 これで初日から3つの黒星を並べ、記録達成どころか相撲を取ることさえも危ぶまれる情勢となってきた。魁皇が大関昇進後に初日から3連敗したのは過去4度あるが、いずれも途中休場に追い込まれている。それでも支度部屋では「今のところは(休場を)考えていない。もっと頑張らないと」と前を向いた。この日の朝稽古では名古屋に来てから関取衆と初めて稽古を敢行。幕内・魁聖と12番取るなど、気持ちは全く諦めていない。

 万全の相撲にほど遠いが、館内の盛り上がりは魁皇の取組が常に最高潮。懸賞金も2日目に続き、白鵬の取組よりも多くかけられた。4日目に対戦する豊ノ島とは過去6勝8敗と合口が悪いが、師匠の友綱親方(元関脇・魁輝)は「心配することもない。本人から(休場は)言ってこんだろう」と話した。現役生活24年目。大偉業を前にして暗くて長いトンネルに突入したが、数々の試練を乗り越えてきた魁皇なら栄光への活路を開くことができるはずだ。

 ≪初日から3連敗は5度目≫魁皇が大関昇進後に初日から3連敗するのは07年秋場所以来5度目。01年秋場所は前の場所で3度目の優勝を飾り、綱獲りの場所だったが「腰部椎間板症」で休場。02年名古屋場所は「左上腕二頭筋長頭短頭断裂」、05年秋場所は「右大腿屈筋肉離れ」で4日目から休場した。07年秋場所は4日目の安馬(現日馬富士)戦に勝って連敗を止めたが5日目の出島戦で敗れ、「左大腿屈筋損傷」で6日目から休場した。

続きを表示

この記事のフォト

2011年7月13日のニュース