有村 スポット参戦初快挙へV王手!

[ 2011年2月27日 06:00 ]

第3ラウンド、通算11アンダーで首位を守った有村智恵(右)

USLPGAツアーHSBCチャンピオンズ第3日

(2月26日 シンガポール・タナメラCC(6547ヤード、パー72))
 スポット参戦の有村智恵(23=日本ヒューレット・パッカード)が2バーディー、1ボギーの71で回り、通算11アンダーで単独首位を守った。米ツアーメンバー以外の日本人選手が海外で行われた米ツアーで優勝したことはなく、快挙に王手をかけた。米通算36勝のカリー・ウェブ(36=オーストラリア)が1打差の2位。宮里藍(25=サントリー)、宮里美香(21=NTTぷらら)はともに通算2アンダーで8位に浮上。上田桃子(24=フリー)は通算5オーバーに後退した。

 試練の第3日を耐え抜いた。風向き、ピンポジションともに今大会で最も厳しい条件となったが、有村は9番で1メートル、11番で3メートルのバーディーパットを沈めてスコアを1つ伸ばした。3日連続で首位で終えると、充実感と疲労が交じった表情を見せた。「ショットの感じが良くない。でも、試行錯誤の中で優勝争いができているのは自信になる」と振り返った。

 バーディーが奪えずリズムに乗れなかった序盤、同組のウェブに5番で並ばれた。後半は強敵からの重圧に加え「暑くて集中力を欠いた」。12番、13番とも1Wを右にふかし、15番、16番は1メートルのバーディーパットを外した。だが、簡単にボギーは叩かない。12番は残り40ヤードのバンカーショットを50センチにつけてパーセーブ。13番も第3打をグリーン奥にこぼしながら、パーでしのいだ。17番は3パットで唯一のボギーとしたが「凄くいいラウンドをさせてもらっている」と我慢のゴルフに自ら合格点を与えた。

 優勝争いのトップに立ちながら平常心を失っていない。「海外だと落ち着いていられる。速報を見ても“有村さん頑張ってるなあ”という感じ」と笑顔を見せた。この日は「遠い存在」というウェブのリズムの取り方を盗む余裕もあった。客観的に自分を見つめられているのが好スコアの要因にもなっている。

 米ツアー参加資格を持たない日本人選手の優勝は5度あるが、いずれも日本で行われた大会。有村が逃げ切れば、史上初のスポット参戦での海外優勝となる。東北高の2年先輩の宮里藍は09年エビアン・マスターズで24歳1カ月で優勝したが、23歳3カ月の有村は日本人選手の史上最年少海外優勝にも王手をかけた。

 キャディーバッグには戦国武将・加藤清正を祭る地元・熊本の加藤神社のお守りをつけている。「昨年買わなかったら1勝だったので」と今年は縁起を担いだ。「できることを全て出し切りたい。それだけに集中したい」。日本での7勝は全て逃げ切り。米ツアーでも後ろを振り返らず、栄光に向かって突き進む。

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