苦節4年 “平成の三四郎”自らスカウト活動で初優勝

[ 2010年11月10日 14:38 ]

全日本学生体重別団体優勝大会の女子で初優勝した環太平洋大女子柔道部の古賀稔彦総監督(中央)と部員

 10月末に兵庫県で行われた柔道の全日本学生体重別団体優勝大会の女子で、創部4年目の環太平洋大が初優勝した。導いたのは“平成の三四郎”と呼ばれた1992年バルセロナ五輪男子71キロ級金メダリスト、古賀稔彦総監督だった。

 岡山県にある環太平洋大は2007年の創立と同時に女子柔道部も発足。古賀総監督は知人の紹介で1年目から指導を始めたが「最初は選手がなかなか集まらなかった」。そこでスカウト作戦を展開した。
 柔道専門誌の「好きな選手」の欄に「古賀稔彦」と答えた有望な高校生を見つけると、自らのサイン色紙を送って勧誘。部員数は1年目の11人から現在の48人に増えた。退部者は一人もいないという。
 東京と岡山を飛行機で往復して週3回の指導。昨夏に300畳の専用道場が完成するまでは、車で片道約20分のところにある武道場を借りていた。苦労を重ねての栄冠に「岡山まで来てくれた子たちに恩返しができた」と喜んだ。
 9月の全日本ジュニア体重別選手権52キロ級で優勝した1年生の谷本和は「先生は技術面で世界一。精神面の大切さも教えてもらっている」と尊敬のまなざしを向ける。指導方法のこだわりは「柔道に取り組む姿勢」だ。
 古賀総監督は「妥協や甘さが一つでもあったら駄目。人間性を磨くことがチャンピオンへの道」。現役時代と変わらない精悍な顔つきで言葉に力を込めた。

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2010年11月10日のニュース