日大3冠王手!最強留学生YAZAWA魂で逆転走

[ 2009年11月2日 06:00 ]

8区でトップに立ち、沿道の声援に手をあげて応える日大のアンカーのギタウ・ダニエル

 第41回全日本大学駅伝(名古屋・熱田神宮~三重・伊勢神宮、8区間、106・8キロ))が1日、25チームとオープン参加1チームが出場して行われ、日大が5時間21分4秒で4年ぶり3度目の優勝を果たした。最終8区でケニア人留学生のギタウ・ダニエル(4年)が3番手から逆転。先月の出雲駅伝も制した日大は、来年正月の箱根駅伝で史上3校目となる3大大学駅伝完全制覇を目指す。2位には今年1月の箱根駅伝で優勝した東洋大が入り、3位は明大。大会最多タイの4連覇を目指した駒大は7位に沈み、第33回大会から出場校決定にシード制が導入されて以来、初めて落選した。

 両手で投げキスをしながら日大のアンカー、ダニエルがゴールテープを切った。先月の出雲駅伝に続き、アンカーで逆転劇を演出し、大学3大駅伝の“2冠目”をゲット。これで、これまでの3大大学駅伝で計72人ものランナーを抜いたことになる最強留学生は「人を抜くのは気持ちいいです!優勝できて、うれしい」と愛きょうのある笑顔で振り返った。
 1分53秒差の3番手でたすきを受けた。だが、疲労蓄積から左ひざと左足首に違和感を覚えていたこともあり、走り自体は万全ではなかった。それでも「できる限りのことはする」という気持ちで臨み、4キロ地点で2位に浮上すると、7キロすぎでトップを走っていた明大をとらえた。1週間前の千葉・館山合宿で「どうしてもゴールテープを切りたい」とアンカーを直訴したダニエルの決断に堀込ヘッドコーチは「彼の決断を聞いて結果的には区間配置がうまくいった」と感謝。最終的には2位に3分36秒差をつける圧勝だった。
 レース前日には2年前に友人の車で聴いて以来のファンという「永ちゃん」でテンションを上げた。前夜、偶然にもテレビで「矢沢永吉ライブ」が再放送されており「ノリノリになりすぎて眠れなかったけど熱くなれた」という。十分すぎるぐらいのYAZAWA魂を体内に注入し、区間賞と優勝をもぎとった。
 これで日大は91年度の大東大、00年度の順大に続く史上3校目の3冠達成を懸けて箱根駅伝に挑む。「2個獲ったから、あと1個。次は芦ノ湖(箱根駅伝往路のゴール地点)のテープを切りたい」。まだ堀込ヘッドコーチの了承は得られていないが、最強留学生は大学最後の伝説を5区山上りでつくることをあらためて表明した。

 ◆ギタウ・ダニエル 1987年10月1日生まれ、ケニア出身の22歳。ケニア・ガル高―日大4年。06年に日大の国際関係学部国際文化学科に留学。出雲全日本大学選抜駅伝と全日本大学駅伝を合わせて計5度の区間賞。箱根駅伝では3年連続区間2位で、3年時は史上最多の20人抜き。日本インカレ5000メートル、1万メートルでは08、09年と2年連続2冠を達成した。1メートル74、55キロ。

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2009年11月2日のニュース