遼くん ぶっちぎりショー!賞金トップ3勝目

[ 2009年9月7日 06:00 ]

<フジサンケイクラシック最終日>白いジャケットを着て優勝杯を見上げる石川遼

 遼時代の到来だ!男子ゴルフツアーのフジサンケイ・クラシック最終日は6日、山梨県富士河口湖町の富士桜カントリー倶楽部(7397ヤード、パー71)で行われ、2打差の単独首位でスタートした石川遼(17=パナソニック)は4バーディー、3ボギーの70で回り通算12アンダー。2位に5打の大差をつけて今季3勝目、ツアー通算5勝目を挙げた。自身最多ストローク差でのぶっちぎり優勝により、賞金ランキングでも初めて首位に浮上。名実ともに日本ツアーを引っ張る石川の視界には、最年少賞金王、そして年間最多獲得賞金もはっきりと見えてきた。

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 誰も追いかけることすらできなかった。劇的なチップインも、目を覆いたくなるような連続OBも、激しいデッドヒートもないまま、ぶっちぎりでのツアー5勝目。石川の圧倒的な強さだけがクローズアップされた。
 最終18番は5メートルのパーパットがカップのわずか10センチ手前で止まった。石川は先に決めてしまうことなく、10センチのウイニングパットのためにきちっとボールをマークした。同組の久保谷、武藤のプレーが終わるのを待つ間、グリーン奥に飾られた副賞の高級車アウディを見ながら加藤キャディーと笑みを浮かべてコソコソ話。
 「いやあ、勝ったね」
 「車どうしよう」
 「最初に乗るのはやっぱりお母さんでしょ」
 そんなたわいもない会話の後、勝者だけに許された至福のパットを沈めて右拳を突き上げた。これまでの優勝とは違う平凡なフィニッシュシーン。それでも「優勝がうれしいと心の底から思いました」と変わらぬ喜びをかみしめた。
 前半はショートパットのミスが目立ち、バーディーを取れずに折り返した。しかし、12番の初バーディーで息を吹き返すと、そこから立て続けにバーディーを奪った。単独首位から逆転を許した前週の悔しさを晴らす独走劇。「1打1打に集中すれば勝てると思ってプレーした」と、独り旅でも自分を見失うことなく、3番以降は3打差以内に誰も近づけなかった。
 優勝賞金2200万円を加えて賞金ランクでも初めてのトップに立った。今季ツアー12戦目で早くも3勝。特に夏場に入ってからの充実ぶりはすさまじく、このペースでいけば、尾崎将司の最年少賞金王(73年=26歳)はもちろん、01年に伊澤利光が記録した年間最多獲得賞金額(2億1793万4583円)の更新、さらにはプロスポーツ界全体での賞金王も視界に入ってきた。石川は「今年の目標ではなかったので不思議だけど、最後の数試合で賞金王を目指して戦うと言えるように頑張りたい」と残り12試合への決意を示した。
 「毎週いろんなことにトライしてるのに成績がついてきてることにも違和感がある」。先週からロフト角60度のウエッジを使い始めるなど、大会を実戦練習の場ととらえている部分もあった。実際、今大会もアプローチの距離感に苦労する場面が多かったが、それでも勝ってしまうあたりが石川の規格外の強さだ。「過信せずに練習を積んでいかなきゃ、いつ下手になるか分からない」。他のプロを置き去りにして進化し続ける17歳。石川遼の時代が今、始まった。

 ≪連戦で消耗…遼パパは休養を示唆≫石川の父・勝美氏は連戦が続く石川の試合出場のスケジュールを今後調整する考えを示した。「優勝争いの中で持っている以上のものを出すと知らないうちに消耗する。そういう試合が続いているので休養も必要になる」と話した。今季は春先に米国に遠征しマスターズ、全英オープン、全米プロと海外を転戦。国内ツアーも1試合も休まずフル参戦している。「良くない状態で出てもファンの皆さんの期待を裏切るだけ」と強調した。また石川の自動車免許の取得については「それがゴルフにどうつながるかをしっかり考えることが大事」と話していた。

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2009年9月7日のニュース