遼くんミラクル!林からイーグル!

[ 2009年5月29日 06:00 ]

<三菱ダイヤモンドカップ 初日>3番Hで林の中から放った第2打がカップに入りイーグルとなりガッツポーズを見せる石川遼

 石川遼(17=パナソニック)がミラクルイーグルを決めた。男子ゴルフツアー・三菱ダイヤモンドカップ第1日は28日、茨城県大洗町の大洗ゴルフ倶楽部(7190ヤード、パー72)で行われ、3番パー4で第1打を左の林に入れたが、林の中からわずかな隙間を通して打った第2打をワンバウンドでカップに沈めた。終わってみれば、1イーグル、2バーディー、2ボギーの70で回り、首位とは4打差の15位という好スタートとなった。66をマークした広田悟(35=TOSHIN)と金庚泰=キム・キョンテー=(22=韓国)が首位で、2打差の3位に芹沢信雄(49=サンエー・インターナショナル)がつけた。

【第1R成績 Go!アスリート石川遼】

 ミスショットが“ミラクル”への第一歩だった。3番パー4。石川のこん身の第1打は左に曲がって松林の中へと消えた。落下地点に立つと、周囲は松の幹で八方ふさがり。横のフェアウエーに出そうにも距離が長く、松の木と深いラフが行く手を阻んでいた。目の前の幹と幹の間からはかろうじてピンが見える。目線をピンから上に移すと、ボールから約40ヤード先、地上からは約15メートルの高さにある枝と枝に囲まれた縦1・5メートル、横50センチほどのすき間が見つかった。細い枝葉が何本かすき間を遮るように伸びていたが「横はダメだけど、縦のブレなら大丈夫」と意を決した。

 残り110ヤード。AWを短く持って振り抜くと、ボールは隙間の下部あたりを抜けてピンまで一直線。手前でワンバウンドしてそのままカップに消えた。「入ったー!」。ギャラリーの声を聞いた石川は右拳を力強く握り、雄叫びを上げた。

 「林からのカップインは初めて。ラッキー」と話したが、幸運を呼ぶだけの技術と独創性があった。すき間を見て「高さはコントロールできると思った」という。AWのフェースをかぶせ「ボールとフェースの間に落ち葉とか挟んで高く出すぎないように上から叩く感じ」で弾道を調整。「クラブの先から頭の先までイメージが一致した」と会心の一打を振り返った。

 この日は魅せるゴルフを連発した。インスタートの12番では目の前の松の木の上を越えて、15番ではバンカーから松の枝と枝の間を通してパーオンを成功させた。加藤キャディーはトラブルショットの場面では「言ってもしようがないから距離しか伝えない」と苦笑する。厳しい時ほど集中力が増し、独創的なアイデアが生まれている。

 17番では第2打がグリーン右の土手ではね返り、2メートルに寄る幸運なバーディー。6番では「寄せられると思ったから」とグリーン手前のバンカーにあえて落とし、抜群のアプローチでバーディーを奪った。「きょうは5打ぐらい得した。せっかく神様からもらった貯金。大事にしたい」。狙いがすべて的中し、首位とは4差。天まで味方にした石川が今季初勝利へ上々のスタートを切った。

続きを表示

2009年5月29日のニュース