琴光喜 朝青龍戦連敗28で止めた!

[ 2008年3月22日 06:00 ]

朝青龍(右)を上手出し投げで破り連敗を28で止めた琴光喜

 大相撲春場所13日目は21日、大阪府立体育会館で行われ、大関・琴光喜が横綱・朝青龍を上手出し投げで破り、02年九州場所から続いていた朝青龍戦の連敗を28で止めた。朝青龍は、魁皇を破った白鵬とともに2敗。平幕で2敗が消え、13日目にして両横綱が賜杯争いの先頭に並んだ。3敗は黒海、把瑠都、栃煌山の3人となった。

【取組結果


 屈辱的な数字に、意地でピリオドを打った。朝青龍に対し、実に5年4カ月ぶりの勝利。支度部屋に戻った琴光喜は安どの笑顔で淡々と語った。「こんなに負けてるのに“何で”ってのが分からなかった。気持ち?凄いうれしいですよ」

 立ち合いでもろ差しとなったが、巻き替えられて右四つで胸を合わせる体勢に。動きが止まり、相手と腹を探り合う中できゅう覚が働いた。「タイミング的に、何か決まりそうな感覚があった。まわしが切れた瞬間ですね」。朝青龍の左上手を腰の振りで切ると間髪入れず、左から上手出し投げ。次の瞬間、横綱は土俵に左手をついていた。

 先場所、朝青龍に28連敗を喫し「もう勝てないかもしれないです…」と弱音を吐いた。そんな琴光喜に、師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇・琴ノ若)は先代親方(元横綱・琴桜)の「自分を信じて体に任せろ」という言葉を教えた。弟子の取組時は「いつも気合が入りすぎて、私が高見盛みたいになってますよ」と笑う師匠は、休場の琴欧洲を除く関取衆3人がそろって勝った10日目から験を担ぎ、同じネクタイを着用。花道で大関を迎えた目は潤んでいた。

 8日目まで2勝6敗と極度の不振。9日目の雅山戦の内容次第では休場も考えていた。前日の琴奨菊に続き、佐渡ケ嶽勢が朝青龍の独走に待ったをかけ「結果として意地を見せられたかな?」。存在価値を示した大関はかみしめるようにつぶやいた。

 ≪左足に違和感…2敗目≫左手の感覚が鈍くなると同時に前のめりに崩れていった。5年以上も負けていなかった琴光喜の出し投げに屈した朝青龍は、座布団が乱舞する土俵で2日続けて苦笑いを見せた。腰高の立ち合いでペースを乱し、防戦一方のまま連敗。「立ち合いが良くないな。2日続けて…」と冷静に分析したが、28連勝の重圧に「いつか負けるかと…。でもそういう重圧にも勝たないといけない」と苦しい心境も口にした。

 相手有利の右四つとはいえ、相手の揺さぶりで左上手を切られたケースは珍しい。実は前日から左足に違和感を訴えており「腰から足首にかけて張りがあるんだ」と明かした。横綱昇進後、終盤で連敗したケースは過去に6度あるが、優勝はわずかに2度。「また頑張るよ」と必死に笑顔を見せる横綱の背中に、冷たい春の風が吹きつけた。

続きを表示

2008年3月22日のニュース