涙雨…死して皮を残すタイガー軍団

[ 2008年1月13日 06:00 ]

早大の激しいタックルで宙を舞う慶大・花崎(20)

 【慶大6―26早大】エースWTB山田は言った。「負けて泣くのは恥ずかしい。だから帰ってから泣きます」。思いを押し殺してゲームを振り返る姿が、慶大の無念を雄弁に物語っていた。「僕らも勝ちたかったけど、ワセダの方が勝ちたい思いが強かったということ」。終わった瞬間にこみ上げた思いは「ワセダ、強かったなあって」。ノートライで敗れたグラウンドを、名残惜しそうに横目で見た。

 8年ぶりに決勝に進出した慶大と、7年連続の早大との経験の違いが、随所に出た。前半だけで3度、マイボールのラインアウトを失った。後半30分にあえてPGを狙い、2トライ2ゴールで逆転できる13点差に詰め寄った。だが、その5分後にハンドリングミスから決定的なトライを奪われた。「勝負どころをワセダは知っていた。その差はありましたね」と林監督は振り返った。
 9月の対抗戦初戦で筑波大に5―32と完敗したチームを生まれ変わらせたのも、この日の相手・早大だ。昨年11月の対抗戦での対戦で0―40の完敗。低く刺さる伝統のタックルの必要性を感じ、低く張ったゴムをくぐりながらダミーを倒す練習を繰り返した。「最後の20分はちょっと甘くなったけど、全体的には良かった」。3―7で折り返した前半に、指揮官も手応えを感じていた。
 昨年11月に左足を手術し、出場できなかった金井主将は「(大学選手権で6大会ぶりの)正月越えの財産は残せた。けど、ワセダに勝つ財産は残せなかった」と複雑な表情を浮かべた。山田は「(3月の)日本選手権へ、まだ伸びしろはある。そこで到達したところから、スタートすればいい」と後輩に思いを託した。死して皮を残す虎の4年生の気持ち。それがタイガージャージー完全復活につながる日は必ず来る。

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2008年1月13日のニュース