高校サッカー選手権首都圏開催50年 仕掛け人が語る首都圏移転秘話
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【大西純一の真相・深層】高校サッカー選手権が12月28日に開幕する。今年は、1976年度に首都圏開催に移行してちょうど50年。すっかり年末年始の風物詩として定着したが、移行の舞台裏はどうだったのだろうか。元日本テレビスポーツ局のプロデューサー、坂田信久さん(84)が明かした。
高校サッカー選手権は1917年(大6)度に第1回が大阪・豊中で開催された、以来関西圏で開催されてきたが、首都圏開催に移行するきっかけとなったのは、メキシコ五輪の銅メダル獲得だった。「次はW杯出場だ」と関係者は盛り上がった。読売新聞と日本テレビは、日本サッカー協会の要請を受けて、プロサッカークラブを目指して、1969年に読売クラブを創設。クラブを作るだけでは強くならないので、「才能のある選手をどうやって集めるか」という話しになり、高校サッカーに目が向けられた。元自治省事務次官の日本テレビ・小林与三次社長の肝いりでスタート、日本テレビスポーツ部のプロデューサーだった坂田さんが日本サッカー協会の小野専務理事や高体連と交渉して話を進めた。
高校スポーツといえば、野球の春と夏の甲子園が代表格だが、冬に関西圏で開催されていた高校サッカー選手権も1918年開始で、歴史があった。毎日新聞が主催し、決勝戦はテレビ中継もされていた。しかし、63年に「すべての競技の高校No・1を決める大会」という位置づけで高校総合体育大会(高校総体)が始まると、高校サッカー選手権の立ち位置が変わった。65年度で毎日新聞が主催から外れ、資金的に厳しくなって大会参加校が16校に減少。大会の継続が危惧されていただけに、日本テレビのアプローチは渡りに船だった。
70年度から日本テレビが放送権を獲得して8試合中継し、決勝戦だけは例年中継していたことからNHKが日本テレビ系列と2局同時中継した。日本テレビもまだ系列局が少ない時代で、高体連から「全国に中継してくれないと困る」という申し入れがあり、対応を考えていた。
この頃、大手広告代理店の電通も「高校サッカーを高校野球に匹敵するものにできないか」と、日本サッカー協会と話しをしているところだった。両者の意向を知る小野卓爾専務理事が、マッチングし、タッグを組むことになった。TBS系列やフジテレビ系列、UHF局なども含めて全国38局でスタート、埼玉県、千葉県、群馬県、栃木県、茨城県はテレビ局がなかったので、日本テレビが放送した。
だが、関西では観客動員が限界だった。西宮、長居、うつぼなどで24校が参加して開催したが、盛り上がらない。「首都圏に移せないか」という声が出始めた。再び坂田氏が動いた。全国高体連のサッカー部長だった都立立川高校の松浦利夫部長は東京教育大学の先輩で話しがしやすかった。三菱総研の市場調査データをつけた資料をつくり、京都の藤田静夫氏ら関西の関係者に話しを持っていった。根回しを終えて松浦部長が高体連の全国部長会の了解を取り、76年度からの首都圏開催が決まった。ただ、関西サッカー界のまとめ役だった川本泰三・日本協会副会長には仁義を切りに行って、怒鳴られたという。それでもやるしかなかった。
76年度から首都圏で32校が参加して新たなスタートを切った。5年たった時、小林社長が大会の打ち上げの席で「なんで全国から参加しないんだ」と突然発言した。自治省事務次官経験者らしい発想だった。高体連は運営費がかさむことから、積極的ではなかったが、翌年度が60回記念大会なので48校でトライアルした。反応はよかった。翌年度は32校に戻したが、1年後の83度から48校参加で、今の形となった。
初年度はよみうりランドのホテルに各局のアナウンサー、ディレクター、技術が集まって3泊4日の合宿を行い、カメラの位置、CMの入れ方、放送用語などをすりあわせた。「大変だけど、楽しみもあった」と坂田さんは振り返る。もちろん、これだけのことは一人ですべてできる仕事ではない。制作は坂田さん、ネットワークなどは日本テレビ編成局の務台猛雄さん(元宮城テレビ社長)と分担したことでスムーズにできた。「テレビは一人でできる仕事はない。みんな気持ちは違う。本当は正月は休みたい人もいるかもしれないが、そういう人とも仕事しないといけない」と、一体感を重視し、各局の共同制作にしたという。
このノウハウは箱根駅伝の完全中継や世界陸上の中継などにも生かされた。高校サッカーの次の50年へ向けて、中継や運営もまだまだ進化するはず。坂田さんのチャレンジも受け継がれていくはずだ。
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