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中村俊輔氏 フェイエノールト・綺世は監督にとって重要な選手 ラツィオ・鎌田は連係合えば中盤で王様に

[ 2023年10月27日 05:30 ]

欧州チャンピオンズリーグ1次リーグ第3戦E組   フェイエノールト3-1ラツィオ ( 2023年10月25日 )

<フェイエノールト・ラツィオ>競り合うフェイエノールトの上田(右)(共同)
Photo By 共同

 【月刊中村俊輔 10月号】昨季限りで現役を引退し、今季から横浜FCのコーチに就任した元日本代表MFの中村俊輔氏(45)がサッカーの魅力を語り尽くす「月刊中村俊輔」。10月号は、フェイエノールト(オランダ)が3―1でラツィオ(イタリア)を下した25日の欧州チャンピオンズリーグ(CL)1次リーグの一戦を解説。今後の巻き返しが期待されるフェイエノールトの日本代表FW上田綺世(25)、ラツィオの同MF鎌田大地(27)についても大いに語った。(取材・構成 垣内 一之)

 「やっぱりホームの利はあったかな」――。セルティック時代に3度のCL出場経験を持つ俊輔氏も、サポーターの存在の大きさは身に染みている。この試合もホームのフェイエノールトが約5万人の大声援を背に、前半からゲームを支配。3―1で完勝し「この雰囲気の中でアウェーのチームが勝つのは、相当に力の差がないと難しい」としみじみと振り返った。

 ただ、ホームアドバンテージを差し引いても、今回は「チームの完成度はフェイエが上だった」と言う。システムはともに4―3―3で、守備時も同じように4―4―2を形成。守備については「“アンカーを誰が見るんだ?”となったときに、そこのマークの仕方は、フェイエの方が定まっていた」と指摘し、攻撃も「ボール回し、ビルドアップから相手陣地に入るところ、サポート、連動性はフェイエの方が質は高かった。だからパスも(ラツィオより)回っていた」と分析した。

 注目の日本人対決は、フェイエノールトの上田が後半33分から出場したものの、ラツィオの鎌田は出番なしで実現せず。ともに今季加入の新天地で苦しんでいる状況だが、俊輔氏は「長いサッカー人生を通じ、ずっとレギュラーで試合に出られるのは、ほぼあり得ない。逆に試合に出られないのは、強いチームに飛び込んで勝負している証拠。だから全く悲観する必要はない」と前向きだ。

 上田のライバルは、この試合でも2得点を決めた22歳のメキシコ代表FWヒメネス。ポジション奪取は決して簡単ではないものの、「2人は似たタイプだし、いい競争になると思う。ラツィオ戦もそうだったけど、途中出場で(前線から)相手を追い回していたし、監督にとっては重要な選手になっているはず」と好印象を口にする。

 鎌田に対しても同様の見解だ。新天地では新たにインサイドハーフに挑戦。まだ周囲との連係は確立されていないが、前線への飛び出しなど、他のMFにない武器もあり「連係が合ってくると、逆に中盤で王様になれる可能性もある」と断言。続けて「やるべきタスクが多いインサイドハーフで良いパフォーマンスを発揮できたら、日本代表にもつながってくると思う。4―2―3―1のトップ下はもちろん、4―3―3でもインサイドハーフで出場できる。今がまさに成長するチャンス。鎌田君もそれを分かってラツィオに移籍したと思う」と今後の巻き返しに期待を寄せた。

 ≪欧州CL日本人対決実現せず 途中出場の綺世見せ場なし≫フェイエノールトのFW上田は3―0の後半33分から出場。限られた出場時間で見せ場はなかった。上田と交代したエースのヒメネスは出場停止明けのCLデビュー戦でいきなり2得点。出場9戦連発でその間に15得点と圧倒的な実績を残し、定位置を狙う上田にとって高い壁となっている。ラツィオのMF鎌田は出番なし。最近の公式戦3戦連続で先発を外れ、踏ん張りどころを迎えている。

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