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今Jリーグで見るべきは鹿島MF佐野海舟 選手、監督が日本代表に激推し「代表のスタメンいける」

[ 2023年3月7日 08:00 ]

鹿島MF・佐野海舟

 23年Jリーグを開幕から3試合を取材して、モノが違うと率直に感じたのが鹿島MF佐野海舟(22)だ。4日の横浜FC戦(ニッパツ)は鹿島の3得点よりも、アンカーポジションで先発した佐野のプレーに一喜一憂した回数の方が多かった。

 取材ノートを見返しても、佐野のプレーを書いたメモが目立つ。「佐野、奪取」「佐野攻め上がり」…といった具合。佐野を漢字で書くのは面倒なので途中からは背番号の25にした。

 見所の一つを挙げるとすれば“デュエル”の強さだろう。横浜FCが敵陣に侵入を試みるものの“佐野ゾーン”で鹿島の25番にボールを奪取された。ボールを引っかけるのではなく、自分で奪い切る。奪い切ることで、すぐさまカウンターにつなげられる。鹿島にとって攻撃の起点にもなる佐野はすでに欠かせない選手になりつつある。

 チームメートのFW鈴木優磨(26)をして「取れる、持てる、出せる」と言わしめた、3拍子そろう22歳。横浜FC戦ではゴールこそなかったが、攻撃センスも非凡なものを感じさせた。

 自分が観客の立場なら、チケット代と横浜駅からスタジアムまでのタクシー代、それに加えて崎陽軒のシウマイ弁当代まで出す価値があるプレーが後半5分に飛び出した。

 自陣深い位置でボールを奪取すると、奪いに来る相手2人をかわしてドリブルを開始。佐野を止めようとする相手のタックルをものともせず、ハーフラインまでボールを運ぶとFW鈴木とのワンツーで右サイドの広大なスペースを独走。右足で上げたクロスは惜しくも相手にクリアされたが「ボックストゥボックス」のプレーに息をのんだ。

 同24分にも会場を沸かせた。佐野が相手DFの中途半端なクリアボールをインターセプト。そのボールがMF樋口に渡ったのを見るやいなや、自らのポジションを捨ててDFライン裏のスペースへ猛ダッシュを仕掛けた。樋口からパスを受けると、ペナルティエリア右のポケットに進入。深い切り返しで相手DFを置き去りにして、左足でゴール左上を狙ったが惜しくも枠外となった。

 「ゴール前に(藤井)智也君がいたのでシンプルに出さないといけないと思うが、点を取りたい気持ちが上回りすぎてシュートになった」と反省したが、ゴールが決まっていればこの日一番の大盛り上がりを見せたことは想像に難くない。

 「(ボールを)取れる」から「(ゴールを)獲れる」能力に磨きをかければ間違いなく日本代表の中盤に加わる人材になるはずだ。選手、監督からも同様の意見が飛び出す。岩政大樹監督は「彼のプレーぶりにはかなり驚きがある。彼にはどんどん上を目指して、年内には代表を目指そうと言っている。そのくらいの選手」と評価。鈴木も「(記者の)皆さんも見ていれば分かりますよね」と前置きした上で「ちゃんとやれば代表のスタメンになる。やっていて感じる」と大絶賛していた。

 海舟という名前は幕末に江戸城無血開城を成し遂げた、勝海舟からとったものだという。勝は1860年に軍艦の咸臨丸で太平洋を横断したとされる。同じ名を持つ佐野も早々に“咸臨丸”で海外へ羽ばたく可能性は十分にある。Jリーグにいるうちにぜひ見てほしい選手の1人だ。(記者コラム 河西 崇)

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