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関東第一“ジャイキリ”静学撃破で初4強!PK戦「楽しんだもん勝ち」GK笠島止めた

[ 2022年1月5日 05:30 ]

第100回全国高校サッカー選手権 準々決勝   関東第一1ー1(PK4-3)静岡学園 ( 2022年1月4日    フクアリ )

<静岡学園・関東第一>PK戦で関東第一GK笠島が静岡学園2人目の古川のシュートを止める(撮影・篠原 岳夫)
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 準々決勝4試合が行われ、関東第一(東京B)は優勝候補の静岡学園を破り、初の4強入りを果たした。後半終了間際にFW坂井航太(3年)の得点で1―1と追い付き、GK笠島李月(3年)の活躍でPK戦を4―3で制した。3大会ぶりの頂点を狙う青森山田はFW渡辺星来(せら、3年)の今大会初得点などで2―1と東山(京都)を逆転で下し、4大会連続のベスト4進出。高川学園(山口)は14大会ぶり、大津(熊本)は初めて4強入りし、準決勝(8日、国立競技場)の組み合わせは大津―関東第一、高川学園―青森山田となった。

 自分を信じて左へ跳んだ。完全にコースを読み切り、右手ではじき飛ばした。関東第一のGK笠島は両手を広げ、笑みを浮かべた。PK戦の2人目。磐田入りが内定している相手エースMF古川陽介(3年)を止めた。「先に動かない、しっかりボールに合わせることを意識しました」。一瞬、重心が逆を突かれたが即座に修正し、劇的な勝利を呼ぶスーパーセーブとなった。

 80分間で浴びたシュートは18本。だが許したのは1点だけ。PK戦に持ち込んだ笠島は笑っていた。「PK戦は楽しんだもん勝ちですから」。2回戦の尚志戦もPK戦を制した。静岡学園のデータはなかったが、自信があった。

 土壇場からの“ジャイキリ”だった。1点を追う後半40分、値千金の同点弾が決まる。一瞬の隙を突いた逆襲のカウンター。最後は坂井がMF日下空(3年)の左クロスに滑り込んだ。「日下が縦に行くのは分かった。1つギアを上げました。触れて良かったです」。序盤から圧倒的に支配された。それでも決して諦めない姿勢が勝利の女神を振り向かせた。

 試合後、坂井の目からは涙があふれ出た。同点弾を決めたヒーローも3人目のキッカーを務めたPK戦で痛恨のミス。そんな失意の背中に笠島から声が掛かった。「大丈夫だっ!」。その言葉を信じ、坂井は涙を拭いた。勝利の瞬間は「もう感情がコントロールできず、ずっと泣いてました」と振り返った。

 いよいよ国立へ帰還する。中津東との開幕戦に快勝した最高の舞台だ。「開幕戦でも体が軽くなりテンションが上がりました。満員になると想像するだけで体が震えます」と坂井。2回戦が最高だった同校の歴史を塗り替え続ける小野貴裕監督(41)は「子供たちの勢いに僕も乗らせていただきたい」と笑った。どんな強敵相手にも粘り強く戦い、たどり着いた国立の舞台。ミラクルは終わらない。

 《国立開幕戦白星→国立帰還は初》関東第一が初の準決勝進出。開会式直後に開幕戦1試合が行われるようになった99年度以降、開幕戦に勝利したチームの4強入りは08年度の鹿島学園(茨城)以来、13年ぶり2度目。ただし08年度の準決勝は埼玉開催。国立での開幕戦に勝利したチームが再び国立で戦うのは今回が初めて。

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