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佐々木則夫氏 森保ジャパン、CB固まってきたのは収穫 久保は守備の質まだまだ

[ 2020年10月14日 17:00 ]

男子サッカー国際親善試合   日本1―0コートジボワール ( 2020年10月13日    オランダ・ユトレヒト )

コートジボワール戦の試合終了間際、植田(2)の決勝ゴールを祝福する吉田(22)ら日本イレブン
Photo By 共同

 【佐々木則夫 視点】全体的に見ると守備の質が高くなったと感じた。相手は欧州でもトップレベルの選手がそろうチームで、無失点に抑えたのは素晴らしい。日本の選手は守備時の距離感がよく、前から守り、連係ができていたので決定機を作らせなかった。日本はなかなかいいCBが出てこないことが課題だが、冨安は素晴らしい。ビルドアップのボールの持ち運びや常に縦を意識しているところがいい。1対1の対応、ハードワーク、ヘディングも申し分ないし、必要のないファウルはしない。

 勝つためには守備が安定が不可欠だが、今回の日本代表は時間が少なかったのにバランスが取れていて、個の質も高かった。連係がよくなればもっとレベルが上がる。欧州でやっている選手はそういうところを学んでいる。守備のバランスや個々の質、対応、角度のないところなら打たせても逆は取られないなどの判断ができている。伊東も日本でやっていたときはあれほどプレスバックしていなかった。代表チームは縦の軸からつくっていく。CB、ボランチ、1・5列目、FWなどが決まっていけばあとは楽。CBが固まってきたのは大きな収穫だろう。

 今回の強化試合は森保監督にとって、収穫が多かったと思う。相手のコンディションも良く、0-0、1-0と最後まで緊迫していた。主眼を置いたのは選手の見極めで、1人でも多くチェックしようとしていた。コンディションだけでなく、コンビネーションや配置の見極めもやっていた。植田を入れて3バックにし、攻撃も守備も安定させたのはいい交代だった。今回招集されなかったJリーグ組もこの試合を見て、「メンバーに入るにはどうしたらいいか」を考えることができたと思う。

 久保は攻撃ではいいものを見せていたが、守備の質がまだまだ。特に切り替えの部分で、守備から攻撃はある程度できていたが、攻撃から守備の早さが感じられなかった。後半開始直後に簡単にボールを失い、ピンチを招いた。アプローチのときのポジションが悪く、予測が遅いので相手と距離ができてしまう。そこが課題で、経験を積んで修正してほしい。若いうちに感じてほしい部分だ。

 指導者はいいところを生かしながら、課題を感じさせていこうと考えているはずで、わたしもなでしこジャパンのときの岩渕真奈を思い出した。同じ課題があったが、攻撃が良かったので、あまり守備のことばかり言うと良さが消えると考え、徐々に守備の意識を注入していった。1対1の対応は深さがあったが、どうしてもサボる。時間は掛かったが、できるようになった。久保も攻撃のセンスがあるので守備も絶対にできるはず。監督はいい部分ばかりではなく、単純なミスなども含めて全体的に見て90分間できるか、スタメンは難しいかなどを見ていくので、スタメンに定着するにはそこに気がつくことが必要だ。(元なでしこジャパン監督)

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