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磐田 躍進を支える競争と共争 ピッチ内外でベテランが貢献

[ 2017年11月7日 10:20 ]

磐田の躍進の一因が上田(左)や太田らベテランのピッチ内外での貢献だ
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 開幕前に現状を予想できた人がどれほどいただろう。昨季最終節でJ1残留を決めた磐田が現在、15勝7敗9分け、勝ち点54で6位。残り3試合で3位・C大阪と3差と来季ACL出場圏に手が届く位置につけている。

 順位、勝敗以外の数字も昨年以上を記録中。50失点を喫した守備は、ここまでリーグ最少の29失点。1試合平均0・94と1点台を下回る。7試合だった無零封は12試合記録。37だった得点も既に48で、±0を目指した得失点差は現在+19だ。名波浩監督は「上下2つに分けたAクラス入り(=9位以内)」の目標を上方修正するなど好調なシーズンを送っている。

 オフに獲得した即戦力(MF中村俊輔、FW川又堅碁、DF高橋祥平)の期待通りの活躍。就任4季目の名波監督の戦術の浸透。要因はいくつかあるだろう。中でもベテラン選手たちの働きは見逃せない。主力として堅守を支えるDF大井健太郎、DF森下俊、MF宮崎智彦はもちろん、出場機会の少ない選手の貢献も大きい。

 MF太田吉彰は練習で若手のミスを注意したかと思えば、直後に自分もミスをして「ごめん!悪い!」。グラウンドにもたらす“緊張と緩和”は、名波監督も周囲に好影響を与えていると認める。DF藤田義明は全体メニュー終了後のランニングが日課。半分はコンディション調整のため、もう半分は若手やリハビリ組との意思疎通のために走り込む。MF上田康太は試合前日恒例の中村俊との居残りFK練習など、言葉ではなく姿勢で周囲にメッセージを発信。GK八田直樹は居残り練習中も常にゴールマウスに立ち、クラブハウスに戻るのはいつも最後の方だ。

 そしてピッチに立てば結果を残す。名波監督は1月の新体制会見で「競争」をテーマに。一方、代えの効かない選手としてGKカミンスキー、大井、中村俊の名を挙げる。今季J1で3人の内いずれかを欠いた7試合(負傷交代を含む)は4勝3分けと負けなし。穴を埋めたのが八田であり、上田であり、藤田だった。チームの底上げを担い、一体感を生み出す。ベテランのピッチ内外での貢献が今季の“上昇気流”を生み出している。

 リーグ戦は残り3節。4位・柏、首位・鹿島との上位対決を残す。上田は「一丸で戦っていきたい。個人的にはポジションを取ることを諦めていない」。躍進を支える競争と“共争”は最後まで続いていく。(加賀田 篤)

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2017年11月7日のニュース