伊代表ＦＷベロッティ　８分ハット！史上最高移籍金で争奪戦へ

セリエＡ第２７節 （ 2017年3月5日 ）

ハットトリックを達成したベロッティ（ＡＰ）
Photo By ＡＰ

　イタリアの若き新エースが離れ業をやってのけた。トリノの同国代表ＦＷアンドレア・ベロッティ（２３）が、３―１で逆転勝ちしたホームのパレルモ戦で今季２度目のハットトリックを達成。後半２９分から８分間で３ゴールを挙げた。セリエＡ得点ランキング１位の２２ゴールを挙げる新星の評価はうなぎ上りで、クラブ首脳は移籍金として１億５０００万ユーロ（約１８０億円）の言い値をつけた。

　飛ぶ鳥を落とす勢いがゴールラッシュに表れた。トリノのＦＷベロッティがわずか８分間で３得点の固め打ち。０―１の後半２９分、右ＣＫを高い打点から頭で叩きつけて同点弾を決めると、２分後に後方からの浮き球を右足ボレーで鮮やかに突き刺した。さらに５分後の同３６分には再び頭でダメ押し弾。高さ、力強さ、シュート技術、決定力などリーグ最多の２２得点（２４試合）を挙げている理由が凝縮されていた。

　加入２季目で初めて主将を任された試合を自らの活躍で飾った。愛称はガッロ（おんどり）。ゴール後に手のひらを額に当てるトレードマークの鶏冠（とさか）パフォーマンスは古巣相手に封印し「僕をリスペクトしてくれたパレルモファンを不快にさせたくなかった。３得点は同僚のおかげ」と控えめに喜んだ。ミハイロビッチ監督は「リーグ最高のＦＷだが、満足してほしくない。もっと成長できる」とさらなる期待を寄せつつ「彼に１億ユーロ（約１２０億円）以上の価値があるのは明らか。会長に移籍金の値上げを相談しなくては」と語った。

　トリノが心配するのはエースの引き抜きだ。昨年１２月に契約を２１年まで延長した際に契約解除の違約金（移籍金）を１億ユーロに設定。カイロ会長も「もし今日設定するなら１億５０００万ユーロ（約１８０億円）。そんな大金を出すクラブは現れないでほしい」と懸念を示したが、若き点取り屋は今夏移籍市場の目玉だ。

　欧州のメディアでは既にビッグクラブによる争奪戦の様相を呈している。昨季の欧州ＣＬを制したＲマドリードのほか、チェルシー、マンチェスターＵ、マンチェスターＣ、アーセナルなどのプレミアリーグ勢、ドイツ王者バイエルンＭ、フランス王者パリＳＧなども獲得に動いていると伝えられている。評価とともに移籍金は高騰しており、昨年８月にユベントスからマンチェスターＵに移籍したフランス代表ＭＦポグバの１億５００万ユーロ（当時約１１９億円）を超え史上最高となることが濃厚。１５年にパレルモから加入した際の移籍金は７５０万ユーロ（約９億円）だったが２年弱で１０倍以上に値上がりした。

　昨年９月にデビューしたイタリア代表でも５試合３得点と活躍。アズーリの新エースが今月２４日のＷ杯欧州予選アルバニア戦、同２８日の親善試合オランダ戦で得点を挙げれば、争奪戦はさらにヒートアップすることになりそうだ。

　◆アンドレア・ベロッティ　１９９３年１２月２０日、イタリア・ミラノ近郊カルチナーテ生まれの２３歳。アルビノレッフェのユースから１２年に当時セリエＢ（２部）のトップチームに１８歳で昇格。１２〜１３年はクラブの降格にともない３部でプレー。１３年に当時セリエＢのパレルモに移籍し１４〜１５年のセリエＡ昇格に貢献。１５年夏にトリノに移籍した。１メートル８１、７２キロ。利き足は右。