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なでしこ 勝ち逃げ“切り札”新オプション5バックに着手

[ 2015年5月22日 05:30 ]

男子チームとの実戦練習で宇津木(中央)をCB起用した新オプションの5バックを形成する、なでしこジャパン

 6月6日開幕のW杯カナダ大会に臨むなでしこジャパンは21日、香川県丸亀市内で国内合宿4日目の練習を消化した。四国学院大の男子チームとの実戦練習では、佐々木則夫監督(56)就任以来初となる5バックシステムを試行。岩清水梓(28=日テレ)と熊谷紗希(24=リヨン)のセンターバックにMF宇津木瑠美(26=モンペリエ)を加えた勝ち逃げ想定の“割り切り布陣”で、連覇に向けての引き出しを増やした。

【なでしこジャパンメンバー 女子W杯日程】

 なでしこに、新たな必勝パターンだ。男子大学生を相手に、4―1―4―1でアンカーだった宇津木が位置を下げ、岩清水と熊谷のセンターバックコンビの間に入った。サブ組も川村が最終ラインまで下がって田中、北原とともに中央を固める。5―4―1の形で最終ラインのスペースを消しながら、男子大学生の攻撃をはね返し続けた。

 割り切りは、合理的な選択だ。佐々木監督は米国代表のエースFWに掛けて「ワンバックにファイブバックだね」と冗談をかました上で「理想と違う中でも勝ち点3を取る。(守備を)はっきりした方がいいでしょ」と説明した。ボールを保持するポゼッション・スタイルで前回11年ドイツ大会を制した日本だが、パワー、スピードで勝る強豪国がそのスタイルを研究、進化させてきた。

 4年前とは全く違う世界を勝ち抜く上での新たな宝刀となる。4バックで最終ラインを高く設定して戦った3月のアルガルベ杯では強豪フランスを1点リードしながら、逆にDFの裏のスペースを突かれて逆転負け。連係不足だけでなく、引き出しの少なさも露呈した。「引いて守る、自陣でのプレーが多くなる時もある。ゴール前、中央で自由にやらせないことが必要」と熊谷。一発勝負の決勝トーナメントはもちろん、1次リーグも勝ち点3と1では大きく違ってくる。だからこそ基本布陣の4―4―2、オプションで中盤を厚くした4―1―4―1に守備重視の5―4―1を加える修正が必要だった。

 「なでしこは日本中のエリートが集まっている。自分たちができなければ、誰もできない」と宇津木が習得に意欲を見せれば、岩清水も「試合で急にやってもできない。今夜、映像を見てまた研究したい」と前向きだ。合宿地・丸亀にある重要文化財の丸亀城は60メートルと日本一の石垣を誇る。連覇を目指すその地で、なでしこの“要塞(ようさい)”づくりが始まった。

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2015年5月22日のニュース