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柿谷 2発で韓国討ち!!ザックのハート射止めた優勝弾

[ 2013年7月29日 06:00 ]

<韓国・日本>後半、2点目を決め喜ぶ柿谷

東アジア杯最終戦(男子) 日本2-1韓国

(7月28日 ソウル)
 敵地で天才が大きく羽ばたいた。韓国との最終戦は完全アウェーの中、柿谷曜一朗(23=C大阪)が先制弾と後半ロスタイムの勝ち越し弾の2発で2―1の勝利に貢献。日本は2勝1分けの勝ち点7で大会初優勝を飾った。柿谷は21日の中国戦に続く今大会3得点で得点王。史上5人目のデビューから出場2試合連続弾で、A代表定着に大きく前進した。
【試合結果 東アジア杯 日本代表メンバー】

 殊勲のV弾を決めてピッチにダイブすると、仲間が次々と乗っかってきた。瞬時に完成した侍ブルーの人間ピラミッド。その一番下で、柿谷が歓喜の雄叫びを上げた。1―1で突入した後半ロスタイム、左サイドを突破した原口のシュートのこぼれ球に反応。ゴールエリア右隅付近から左足を振りゴール左隅に蹴り込んだ。GK、2人のDFの位置を見極めた難易度の高い一撃。「冷静に打ったように見えたかもしれないけど、心臓バクバクでした。優勝が一番。やっぱりチャンピオンっていいな、と思いました」と汗を拭った。

 均衡を破ったのも柿谷だった。前半25分に青山からのロングボールで最終ラインの裏に抜け出し、頭で絶妙のトラップ。スピードを落とさずにGKと1対1となり、右足で左隅に流し込んだ。国際Aマッチデビューとなった21日の中国戦に続き、最初のシュートでゴール。デビューから出場2試合連続弾は、95年の名波浩(本紙評論家)以来史上5人目の快挙だ。

 完全アウェーの日韓戦。スタンドでは韓国応援団から日本サポーターに向け「歴史を忘却した民族に未来はない」と横幅約40メートルの巨大横断幕が掲げられた。発煙筒もたかれる物々しい雰囲気の中、気温27・5度、湿度83%の酷暑と劣悪ピッチの影響もあり、立ち上がりから苦戦。ボールを支配されてシュート5本に抑えられたが、柿谷が少ない決定機を確実にゴールへ沈めた。韓国には08年11月のU―19アジア選手権準々決勝で0―3で惨敗。U―20W杯出場権を逃して号泣させられた相手に5年ぶりに雪辱を果たした。

 大会通算3得点で得点王のタイトルも獲得した。今大会は若手主体でテスト的な意味合いが強かったが、欧州組も招集される8月14日のウルグアイ戦(宮城)のメンバーに選出されることが確実。左太腿痛で離脱中のハーフナー(フィテッセ)の招集は厳しいため、前田(磐田)との定位置争いに勝てば先発に抜てきされる可能性もある。

 一躍ヒーローとなったが「まだ海外組を含めた代表は遠いと思う。これから注目されるかもしれないけど、その中でどれだけできるか。これからのJリーグが大事になる」と慢心はない。10代から天才と騒がれてきたアタッカーは、6月のコンフェデ杯で惨敗したザックジャパンの救世主になる可能性を秘めている。

 ≪18年ぶり史上5人目の快挙≫FW柿谷が2ゴール。国際Aマッチデビュー戦だった21日の中国戦の1ゴールに続いて今大会通算3得点とし、大会得点王に輝いた。2戦目のオーストラリア戦が不出場だったため、Aマッチデビュー戦からの2試合連続(過去3人)とはならなかったが、デビュー戦から出場2試合連続ゴールでも日本代表では95年の名波浩以来、18年ぶり史上5人目の快挙だ。

 ▽柿谷 曜一朗(かきたに・よういちろう)1990年(平2)1月3日、大阪市生まれの23歳。4歳からC大阪の下部組織で本格的にサッカーを始める。07年U―17W杯で注目を浴びる。09年のシーズン途中にJ2徳島へ期限付き移籍し、12年からC大阪に復帰。J1通算48試合21得点。21日の東アジア杯中国戦で国際Aマッチ初出場、初得点。1メートル77、68キロ。利き足は右。

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