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岩清水 守備陣統率し完封!新生なでしこが東北に初勝利贈る

[ 2013年3月12日 06:00 ]

<デンマーク・日本>川澄(左)は岩清水のキャプテンマークに書かれた「東北魂」を指さす

アルガルベ杯1次リーグA組 日本2-0デンマーク

(3月11日 ファロ)
 新生なでしこが初勝利を挙げた。国際親善大会アルガルベ杯に出場しているなでしこジャパンは11日、1次リーグ最終戦でデンマークを2―0で下し、今大会初勝利を挙げた。東日本大震災から2年の節目を迎えた日にDF岩清水梓(26=日テレ)が守備陣を統率して完封。被災地に白星を届けた。1勝2敗でA組3位となり、13日の5位決定戦出場が決まった。

 今も傷の癒えない古里への思いがあふれた。前半17分、岩手県滝沢村出身の岩清水の元に先制点を決めた川澄が駆け寄ってきた。左腕に巻かれた主将マークに書かれた「東北魂」の文字。2人で指さし喜んだ。東日本大震災から丸2年の節目に行われた一戦。同41分には大儀見が追加点を決め、守備陣も完封して完勝。なでしこジャパンの13年初勝利を特別な日に飾った。「東北にいいニュースを届けたいと思っていた。勝利を届けられて良かった」。主将マークの裏にはさらに「3・11を私たちは忘れない 共にがんばろう」と書き込まれていた。

 10日には両親と電話で話した。「(東北で)楽しみにしている人に何かを伝えられる試合をしてほしいと言われました」。そのことを試合前のミーティングでチームメートに伝えた。「みんなにとってはいつも通りの試合かもしれないけど、東北には楽しみにしている人がたくさんいます」。キックオフ前に震災犠牲者へ黙とうを行い、被災地のためにという思いを強め試合に臨んだ。

 その気持ちを前面に出した。過去2戦、早い時間帯に先制を許していた最終ラインを的確な指示で引き締め、後半9分、27分の左CKではキッカーの川澄を大声で呼び頭や左足で積極的にシュート。「(特別な日に)メチャクチャ決めたかった」。ゴールはならなかったが気持ちを見せ続けた。

 2年前の3月11日、なでしこはアルガルベ杯から帰国し、移動中に震災に遭遇した。直接被害を受けていない選手も衝撃を受けずにはいられない状況。夏にW杯を控えた中で大きな困難に直面したものの、佐々木監督は「W杯で日本の皆さんのためにという思いを強くして、優勝になった」と振り返る。傷の深さが“見えない力”を生んだ。だからこそ指揮官は「試合の日は朝から気合を入れます。“絶対勝て”と」と誓っていた。新生なでしこが被災地に白星を届け、新たなスタートを切った。

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