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カズが導く“なでしこロード” 表彰台でマイナー競技脱却

[ 2012年11月11日 06:00 ]

報道陣が用意したバースデーケーキを手にする木暮(左)を祝福する三浦

フットサルW杯タイ大会

(バンコク)
 日本代表は11日の決勝トーナメント1回戦でウクライナと激突する。最年長記録を更新する45歳259日でのW杯初ゴールの期待がかかる三浦知良(J2横浜FC)は途中出場が濃厚。2年前まで注目度や待遇面などで恵まれない境遇にありながら、昨夏のW杯ドイツ大会優勝でブレークしたなでしこジャパンの再現を狙うSAMURAI5(フットサル日本代表の愛称)をけん引する。日本代表は10日、選手の疲労などを考慮し練習をキャンセルした。
【日本代表メンバー W杯タイ大会】

 チャオプラヤ川を見下ろすホテルで静かに決戦に備えた。いよいよ8強進出が懸かるウクライナ戦を迎える。この日は疲労が考慮され、急きょ練習が中止。ホテル内で汗を流したカズは「負けたら(日本に)帰らないといけない。まだ帰りたくないね」。ウクライナは先月27日の強化試合で初得点を決めた相手だが「昔話だよ」とそっけない。頭は冷静。魂だけが熱く燃えている。

 野望がある。W杯初優勝を機に人気、待遇面がランクアップした、なでしこジャパンの快進撃の再現だ。「フットサル(日本代表)の選手が言っていた。2年前までは、なでしこと支え合っていた。今は自分たちだけ取り残されたという危機感があるって」。カズ参戦でフットサルの注目度は高騰したが、それでもまだ社会現象とは言えない。W杯を制し国民栄誉賞を受賞し、社会全体を巻きこむフィーバーを起こしたからこそ今のなでしこ人気がある。狙うのは、そのステージだ。

 カズは日本を出発した先月28日、成田空港で言い放った。「W杯でいい成績を残して、帰りはビジネスクラスにアップグレードさせたい」。現在フットサル日本代表の移動便の座席はエコノミークラス。ビジネスクラス以上に座れるサッカー日本代表、なでしこジャパンとは格差がある。日本協会の大仁会長は「女子もメダル獲得なら(アップグレード)と言った。メダルを目指してほしい」とメダル獲得を条件に掲げた。待遇面の一つにすぎないが、3位以内は絶対的なノルマだ。

 この日夕食前のミーティングでは、強化試合ウクライナ戦の前半(3―1)の映像を見て勝利へのイメージを膨らませた。自身の得点シーンも出てきたが「大事なのはゴールまでのプロセス。日本の良さは皆で協力してチーム力を数倍にすること。勝利につながるゴールを決めたいね。あとは出たとこ勝負」。ウクライナを倒せば道は開ける。背番号が重なる11月11日は、カズの日になる。

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2012年11月11日のニュース