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内田「不完全燃焼」ゴール演出も決勝進出ならず

[ 2011年5月6日 06:00 ]

<マンチェスターU・シャルケ>ベルバトフ(右)と競り合う内田

欧州CL準決勝第2戦 シャルケ1―4マンチェスターU

(5月4日 マンチェスター)
 準決勝第2戦の1試合が行われ、シャルケは1―4でマンチェスターUに敗れて2戦合計1―6となり、初の決勝進出はならなかった。右サイドバックで先発フル出場した日本代表DF内田篤人(23)は前半35分に右クロスからゴールを演出したが、チームを勝利に導くことはできなかった。28日にロンドンのウェンブリー競技場で行われる決勝は、マンチェスターUとバルセロナの対戦となった。

 マンチェスターUに圧倒的な力の差を見せつけられての敗退。だが、内田の表情は意外なほどすっきりとしていた。

 「準決勝に来て良かった、と思うのは周りの人だけでいい。選手としては勝ちたかった。途中で負けたので不完全燃焼」

 見せ場はつくった。0―2の前半35分、ドラクスラーからパスを受け、右足ダイレクトでゴール前のラウルに速いクロスを送った。相手DFに阻まれたが、そのこぼれ球をフラドが右足で押し込んだ。2試合で唯一のゴールを演出し、さらに守備でもマッチアップしたナニを封じ込んだ。自らの役割は果たしたが、それだけで勝てるほど欧州CLは甘くなかった。

 準決勝までの12試合中11試合で先発し、内田の中ではサッカーに対する意識が大きく変わった。鹿島時代は欧州サッカーへの興味は希薄だったが、昨年7月にシャルケに移籍してからはまるで別人。特に欧州CLでは、対戦するチームの試合をテレビでチェックするのが日課となっていった。この半年間の快進撃を振り返り「朝起きてからずっとこの大会を意識しながら生活できた。濃かった。俺はサッカーはあんまり好きじゃないけど、楽しかった」と冗談交じりに充実感を漂わせた。

 コンディションが戻ったことも先発に定着した大きな要因となった。1年前はW杯南アフリカ大会を目指して鹿島でプレーしていたが、疲労の蓄積による嘔吐(おうと)の症状が続き、思うように動けなかった。先発として期待されていたW杯では、1試合も出場できなかった。「正直言うと、サッカーをする体じゃなかった。あの時と比べたら体調がよくなった」。吐き気もなくなり、本来の輝きを取り戻した。

 自らについて「向上心がない」と笑って分析する内田だが、日本人として初めて世界最高峰の大会の準決勝でプレーして欲も出てきた。「ベスト4まで来た。でも(頂点は)つかめそうでつかめない。だいぶ遠いけど、もうちょっと頑張ろうかな」。経験という大きな財産を得た内田が、確かな手応えとともにCL王者への挑戦をスタートさせる。

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2011年5月6日のニュース