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勝因は“世界級FK”トルシエジャパン超えた岡田ジャパン

[ 2010年6月26日 13:19 ]

日本の1次リーグ突破を伝えるスポニチ号外を手に、笑顔を見せるフィリップ・トルシエ氏

 元日本代表監督のフィリップ・トルシエ氏(55=FC琉球総監督)が25日、2大会ぶりに1次リーグ突破を果たした岡田ジャパンに最高の敬意を表した。序盤はペースを握られながらも、デンマークに3―1と快勝した試合運びを評価。02年日韓大会で16強に進んだトルシエジャパン以上と称え、目標である「W杯4強」の可能性も十分にあると明言した。

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 最大の勝因は言うまでもなく、世界クラスのFKを得点にできたことだ。FKが成功した時点で、試合の流れは日本のものとなった。デンマークが決勝トーナメントに進むには2点、3点と取る必要にかられ、精神的にも日本が優位に立った。むろん、立ち上がりは危険な状態だった。岡田監督は従来、右MFの大久保嘉人をシャドーストライカー、ボランチのMF長谷部誠を右サイド、右MFの松井大輔を左サイドにポジションを変えてきた。その結果、相手にスペースを与えてしまい、前線に次々と飛び込ませてしまった。

 だが、ここからが日本代表の成長の証だ。1点を奪われても慌てるそぶりすら見せず、むしろ攻撃性を増した第2戦のオランダ戦(19日)のごとく、実に落ち着いていて、時に反逆心すら見せてくれた。これは、明らかに新しい日本代表と言えるだろう。

 最近、私が率いた02年のチームに比べ、今の日本代表は前進していますか?という質問を頻繁に受ける。W杯という舞台だからこそ、比較もできるのだが、落ち着いた試合運びに透けて見える経験値、言動は、確実に02年よりも成長していると言える。技術的にはもちろんだが、02年にW杯を開催しアジア杯を何度も制した。そうした歴史を積み重ね、青い代表ユニホームを着ることの意義を選手全員が感じているようにも見える。

 W杯前、日本代表は過去にないほどの批判にさらされていた。だが、その批判は根拠のないものだった。5月に韓国に痛い目に遭い、4月にはセルビアのB代表にも負け、2月にはW杯に出場していない中国ともスコアレスドローだった。だが重要だったのは本番で同じ失敗をしないことだ。そして最大の“転機”は訪れる。それが初戦の3日前に行ったジンバブエとの練習試合だった。

 それまで起用されていなかったMF松井を右サイドに置き、本田の1トップを初めて試した。その前のイングランド戦ではMF阿部勇樹、遠藤保仁、長谷部の3ボランチで中盤が安定することは確認できていたが、このジンバブエ戦で岡田監督の自信は確信に変わった。試合は0―0だったが、満足感は感じていたはずだ。その後は説明するまでもない。カメルーン戦に1―0で勝利し、完全にスイッチが入った。ジンバブエ戦がなければ、今の4―3―2―1布陣も、この“成功”もなかったはずだ。大きな転機だったと言える。

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2010年6月26日のニュース