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さらば天才レフティー 豪華メンバーで引退試合

[ 2010年1月11日 06:00 ]

<名波浩引退試合>子供達と一緒に場内を一周する名波氏

 【名波引退試合・ステッレ・ジュビロ5-4アズーリ・ジャポーネ】元日本代表MF名波浩氏(37=本紙評論家)の引退試合が10日、静岡・袋井市のエコパスタジアムで行われた。元日本代表MF中田英寿氏(32)ら出場選手との直接交渉から、スポンサー集めまでを名波氏自ら手掛けた手作りの一戦に、4万3077人の大観衆が集まった。試合は名波氏が前半にアズーリ・ジャポーネ(98年W杯フランス大会メンバーが中心)で出場して2アシスト。後半はステッレ・ジュビロ(02年磐田メンバーが中心)で出場し、2得点を挙げて花道を飾った。

 最後の演出はド派手だった。後半ロスタイム、磐田のユニホームを着た名波氏が、山西の左クロスを豪快に左足ボレーで決めた。自身の得点の中で「最も思い出深いゴール」とする99年5月の鹿島戦での直接FKによる得点後のパフォーマンスと同じ、大の字になってピッチに寝そべった背番号7は、ピッチで両チームの選手から胴上げされ、3度宙に舞った。
 試合終了直前には「主審の上川さんが(試合を終えるか、続けるか)どうする?どうする?と聞いてきた。あのシュートは最後の力を振り絞った」と名波氏はすべてを出し切って満足げだった。ジャポーネで出場した前半はボランチで出場。19分に精度の高いパスでカズの先制点をアシスト。21分、名波氏らしいループシュートをバーに当てたが、25分にはショートCKから左足でのピンポイントクロスを秋田の頭に送った。
 ジュビロにチームを替えた後半13分にPKを決めた後、23分には正確なサイドチェンジで中山の得点の起点になった。「ゴンちゃんは慌てちゃうんだよ。きょうは札幌に行く前に宿題を与えた」と名波氏はゴールを外し続けた42歳の現役選手へ、厳しい言葉ながらエールを送った。
 現役時代に魅力的なゲームメークをしてきた名波氏は、引退試合も自らが中心となって演出した。昨年夏から携帯電話に登録してある選手に自ら電話して出場を交渉。中田氏やカズ、ミスチルの桜井和寿ら芸能人を含め、スケジュールを押さえ、ケガの状態なども聞き出し、出場時間やポジションも名波氏が決めた。
 看板スポンサーとの交渉なども名波氏がスーツを着て営業活動した。中田氏は「これだけの人が集まったのは凄いこと」と話し、中山も「それぞれ持ち味を出せた。僕もゴールを外し持ち味が出た。そしてこれだけのお客さんが来たのは名波の人望の厚さ。偉大だよ」とその気配りを称えた。
 引退試合を成功させ、今後は2年後のS級ライセンス取得を目指し、本格的に指導者の道に進む。「今回のプロデュースはまずまずかな。今度はお客さんを呼べる選手を育てたい」。引退試合の売り上げのほとんどを小学校から大学まで自分を育ててくれた母校へ寄付する。そんなサッカー人・名波浩の旅は果てしなく続く。

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2010年1月11日のニュース