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鹿島あと1勝!ホーム最終戦で劇的な勝利

[ 2008年11月30日 06:00 ]

後半44分、ゴールをきめた鹿島・岩政(中)はガックリの中山(左)ら磐田イレブンの横で喜び爆発

 【鹿島1―0磐田】鹿島が連覇にあと1勝と迫った。J1第33節第1日は29日に6試合を行い、鹿島はホームで磐田と対戦し1―0で白星を飾った。DF岩政大樹(26)が後半ロスタイムに起死回生のゴールを決め激闘に終止符を打った。今季のホーム最終戦を劇的な勝利で飾り、連覇に王手。3位以内確定で来季ACL出場も決定した。12月6日の札幌との最終戦に勝てば、無条件で2年連続6回目の優勝が決まる。

 劇的なドラマは最後の最後に待っていた。後半のロスタイム4分はすでに経過。まさに最後の1プレーだった。1点が欲しい鹿島は左コーナーフラッグ付近で反則を誘い、FKを得た。磐田の選手が陣形を整える前に素早く蹴った増田のFKに岩政が得意の頭で合わせると、ボールは磐田のGK川口の脇を抜けてゴールネットに突き刺さった。その直後に試合が終了。ベンチ前には歓喜の輪が広がり、スタンドは総立ちに。ゴール裏のサポーター席に向かって走りだしたオリヴェイラ監督の目からはすでに大粒の涙があふれ出ていた。殊勲の岩政も「頭が真っ白になった」と興奮で声を震わせた。
 みんなの気持ちが乗り移ったゴールでもあった。試合前のロッカールームにはこの日、見慣れない光景があった。普段は私服でスタジアムにやって来るベンチ外メンバーたちも、ユニホームに身を包んでいた。「一つになるぞ!」。スタッフを含めたチーム全体での円陣。小笠原の離脱以来ゲームキャプテンとしてチームを引っ張るDF新井場の怒号が響き渡った。
 実は、小笠原が午前中にクラブハウスでリハビリを終えたあと、ホペイロ(用具係)の増川氏にこう頼んでいた。「全員のユニホームを包んでくださいよ」。故障でピッチに立てない小笠原主将の粋な計らい。これでチームの闘争心は最高潮に達し、キックオフから気合のこもったプレーを展開した。その気持ちをゴールという最高の形で体現した岩政も「きょうのゴールは、サポーターを含めたみんなの気持ちがこもったゴールだった」と感激の声を上げた。
 岩政自身にとっても大きな得点だった。2月の日本代表の東アジア選手権で左足首を負傷。それ以来、左足首の原因不明の痛みに悩まされ続けている。その影響で昨季6ゴールを叩き出した得点は激減。周囲からは「ゴール数が去年より少ない」と言われることも少なくなかった。それだけに、貴重な今季2点目に「数が減った分、貴重な点を取りたいと思っていた。それがこの重要な試合で生まれて、今までの苦しみが報われた」と笑みを浮かべた。
 チームはこれで連覇に大きく前進。「優勝しないときょうのゴールも意味がなくなる。優勝を決めて帰ってきたい」と岩政。劇的な勝利を飾ったチームの勢いは、もう誰にも止められない。

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2008年11月30日のニュース