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ホッフェンハイム IT革命で首位浮上!

[ 2008年10月28日 06:00 ]

<ホッフェンハイム・ハンブルガーSV>ゴールを決め喜ぶ、ホッフェンハイム・イビセビッチ(左)

 ブンデスリーガ第9節の3試合が26日に行われ、今季から昇格したホッフェンハイムがハンブルガーSVを3―0で下して首位に浮上した。前節首位の名門を相手に前半だけで3得点を挙げて圧倒。IT長者のオーナーから強力な財政支援を受け、人口3300人の村から飛び出したクラブがブンデスリーガで旋風を起こしている。

 終了の笛にスタンドがわいた。村の競技場が1部のリーグ戦開催基準を満たさず、今季から会場は車で35分の距離に位置する4部マンハイムのホームを間借り。それでも周辺地域のファンを含めて2万6300人がその瞬間を見守った。首位浮上。ラングニク監督は「狙い通り」と笑った。
 前線からのプレスでボールを奪い、3トップで攻めた。前半7分にFWオグブケ・オバシがフィジカルを生かした突破から先制。6分後にFWイビセビッチが得点王を走る通算10得点目の追加点で流れを呼び込んだ。先発平均年齢は今節の全クラブで最も若い22・7歳。若さと運動量の攻撃サッカーはリーグ最多のチーム得点24にも表れる。
 89年にクラブOBで欧州最大のソフトウエア企業SAPの創設者ディトマール・ホップ氏が支援を始めた。当時8部のチームは上昇を続け、シャルケなどを率いたラングニク監督を招いた06年夏以降は3部から2季連続で昇格。初挑戦の1部でも一気に頂上に達した。
 これまでホップ氏が投じた資金は1億5000万ユーロ(約174億円)。チェルシーを率いるロシアの石油富豪アブラモビッチ氏と比較され、相手ファンからはブーイングを浴びる。しかし、ホップ氏は「彼は既存のビッグクラブを買収した。私は一歩一歩着実にステップアップさせる」と反論する。投資の8割は長期的な視点で施設などインフラ整備にあて、補強は原則25歳以下。今夏は2人に830万ユーロ(約9億6000万円)をかけただけで、DFコンパーは「同じメンバーで戦うことがアドバンテージ」と完成度に自信を見せる。
 来年1月には村から車で5分のジンスハイムに3万人収容の競技場が完成。メルヘンの国、ドイツで生まれたおとぎ話がどのようなエンディングを迎えるのか。

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2008年10月28日のニュース