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高原 本領発揮だ!おわびの2発

[ 2008年4月27日 06:00 ]

<京都・浦和>後半25分、この日2点目のゴールを決め、天を指差す高原(左)

 【浦和4-0京都】ついにエースが眠りから覚めた。浦和は26日、アウェーでの京都戦に4―0と圧勝して3位に浮上。ここまで不振を極めたFW高原直泰(28)は後半12分、待望の移籍初ゴールを決めるなど2得点で、ようやく本領を発揮した。DF田中マルクス闘莉王(27)も2ゴールを挙げ、エンゲルス監督の51回目の誕生日を飾る“祝砲”が次々と上がった。

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 喜びを爆発させた高原は飛び立つ鳥のようにゴール裏に走った。待ち焦がれた赤きサポーター席の前で体を直角に折り曲げ、深々と一礼。公式戦7戦目にして訪れた、遅過ぎる「春」を全身でわびた。「ゴールを期待してくれたサポーター、チームには迷惑をかけたんで。ようやく仕事ができたかなと思う」

 いかにも高原らしい、弾丸ライナーで決めた。後半12分、相手GKと競り合い、ゴール右にこぼれたボールに誰よりも早く反応。シュート体勢に入った。「いい位置だった。ボールを右足に持ち替えて(ゴール前に)DF2人が見えたけど、関係ないやという感じだった」。一瞬、間をためた後、その右足を振り抜いた。

 1月、浦和は日本のエース獲得に沸いた。だが、ドイツ帰りの高原の調整は遅れ、焦っては両太腿、右ひざの故障を繰り返した。新加入でただ一人、サポーターからコールさえしてもらえない日々。日本代表は招集を見送られた2月の東アジア選手権に続き、23日まで行われた代表候補合宿も辞退。プライドを捨てて一から体をつくり直した。かつて別格感の漂った男は「周囲に気を使わせてしまい、それが嫌だった」と言うほど追いつめられていた。

 視界は一気に開けた。「1点取って動きも良くなるのは、よくあること。モヤモヤが全部吹っ切れた」と高原。後半30分、呪縛(じゅばく)の解けたエースは梅崎のCKに合わせ2点目を決めた。磐田時代の98年3月21日、鮮烈なデビュー弾を決めてからJ通算60点目。相手が10年前と同じ京都というのは、運命だったに違いない。

 日本代表を含めて公式戦での得点は、フランクフルト時代の昨年10月20日のニュルンベルク戦以来、実に189日ぶり。半年を超す空白はサッカー人生でも最長の屈辱だった。「長かったと言えば長い。でも、ようやくスタート地点に立った」。視察した日本代表の岡田監督も「良かったんじゃない」と口にした2発は、本来の実力からすれば、ほんの片りんに過ぎない。エースの大逆襲は、ここから始まる。

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2008年4月27日のニュース