【天皇賞・春】クロワデュノール 目つきが違う 馬体がパワーアップ 立ち姿に安定感

[ 2026年4月28日 05:30 ]

鈴木康弘氏「達眼」馬体診断

クロワデュノール
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 鈴木康弘元調教師(82)がG1有力候補の馬体ベスト5をセレクトする「達眼」。「第173回天皇賞・春」(5月3日、京都)ではクロワデュノール、ヘデントール、スティンガーグラス、アドマイヤテラ、タガノデュードをピックアップした。中でも達眼が捉えたのはG13勝馬クロワデュノールの目の変化。長距離戦に対応できる柔軟さも備えた不動の本命馬だ。

 「目は心の窓である」と言ったのは古代ギリシャの哲学者プラトンでした。「目は心の鏡だ」と言ったのは古代中国の儒学者・孟子。「目は口ほどに物を言う」、これは江戸時代の川柳から生まれたことわざです。これらの言葉は馬にもそのまま当てはまる。言葉を持たないだけに口に代わって物を言うのです。

 クロワデュノールの目も気持ちの変化を鏡のように映し出しています。昨秋のフランス遠征から2カ月のレース間隔で出走した帰国初戦のジャパンC(4着)時は険のある目をしていました。日本調教馬にとっては、つらい重馬場の凱旋門賞(14着)で大敗した精神的ダメージが残っている。そう思わせる険しい目つきでした。当時の馬体診断で指摘した通り、それから4カ月間隔を空けた前走・大阪杯(1着)時も険しさがいくらか残っていた。さらに1カ月たった今回はどうか。とげとげしさが消えた、フランス遠征前の穏やかな目に戻っています。ダービーを制した3歳春当時と変わらない目つきです。

 馬はつらい記憶を忘れない。前2戦と同様、尾にはまだ力みが見られますが、目つきの変化から敗戦ショックから立ち直ってきたのは明らかです。

 立ち姿には安定感が増してきました。馬体が一段とパワーアップしたからです。特に肩のボリュームが増したことで両前肢にしっかり体重を乗せて立っています。元々、完成度の高かった馬ですが、フランス遠征(凱旋門賞前にはプランスドランジュ賞快勝)を体験してもう一段、進化した。体のパワーと心のダメージ。相反する2つの“フランス土産”を抱えて帰国したのでしょう。

 毛ヅヤは抜群。青鹿毛の被毛が前走以上に黒い光沢を放っています。体調は申し分ありません。前走時は腹周りに少し余裕がありましたが、今回はアバラがうっすらと映るほど良く仕上がっています。休養明けを1度使った効果です。

 2400メートル超のレースは初めて経験しますが、体形から十分克服できます。体に硬さがなく、各部位がゆったりと柔らかくリンクされている。ステイヤー体形ではありませんが、これだけ柔らかければ3200メートルも大丈夫。リラックスしながらハミを受けている姿も長距離戦を走る上で実に心強い。

 目は心の窓であり、心の鏡。口以上に物を言う。険しさの取れた穏やかな目がG1連勝の手応えを雄弁に語っています。 (NHK解説者)

 ◇鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の82歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~04年に日本調教師会会長。JRA通算795勝。重賞27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。

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