【日本ダービー】レガレイラ99点!“目の色変わった”ウオッカ以来17年ぶりの偉業に手が届く肉体美

[ 2024年5月21日 05:20 ]

鈴木康弘氏「達眼」馬体診断

レガレイラ
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 3歳馬の頂点をにらむのは闘志に点火した竜の瞳だ。鈴木康弘元調教師(80)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。今週はダービースペシャルとして5つのチェック項目(各20点満点)で出走全馬を採点。紅一点、牡馬勢に挑むレガレイラに最高点の99点を付けた。達眼が捉えたのは前走・皐月賞(6着)時とは一変した瞳。ウオッカ以来17年ぶり史上4頭目となる牝馬のダービー制覇が見えた。

 画竜点睛(がりょうてんせい)という故事があります。中国の古書によると、およそ1500年前、中国の絵師が南京・安楽寺の壁面に竜の絵を描きました。ところが、「睛(瞳)を入れると飛んでいってしまうから」と言って、どの竜にも睛を入れなかった。人々は絵師の言葉を信用せず、睛を入れさせたところ、竜はたちまち壁を破って飛び立ったと伝えられています。転じて、画竜点睛とは最後に付け加える肝心な部分の意味です。

 「レガレイラは名牝と呼ぶにふさわしい馬体だが、目が優しすぎる。一線級の牡馬をはじき飛ばして前に出るだけの心の強さを持っているのか」。皐月賞時の馬体診断ではその気品漂う肉体美を称賛する一方で、こんな指摘もしました。目は心の窓です。皐月賞当日、NHK実況中継のパドック解説でも「優しすぎる瞳がどう出るか」とコメントしました。結果は牡馬に前に入られたりしてリズムを崩しながら6着まで差を詰めた。レース後記では「竜馬のつまずき。名馬、名牝でも時には失敗することがある。ダービーで捲土(けんど)重来を期してもらいたい」と述べました。

 それから1カ月半。瞳の変化に驚かされました。優しすぎる目が鋭い目に変わっている。敗戦は成長の糧。皐月賞の苦しい経験が心を成長させたのでしょう。これほど目力が強くなれば、牡馬相手でもひるむことはないでしょう。

 体形から2400メートルは望むところです。骨格がゆったりとした中距離体形。背と腹下が長く、各部位のつながりにも遊びがある。キ甲は完成途上ですが、トモにはバネを仕込んだような弾力性と柔軟性がある。そのトモの筋肉は1カ月半の間に一層厚みを増しています。17年前のダービーを制した名牝ウオッカほど完成度は高くないが、こちらには成長力がある。毛ヅヤは抜群。腹周りもふっくらしている。皐月賞の反動も皆無です。ここまでは項目別の採点でも全て満点としましたが、立ち姿だけは1点減。尾に少し力みが見られるだけに歓声を浴びるスタンド前発走を落ち着いて乗り切りたい。発馬さえクリアすれば…。

 画竜点睛。皐月賞でつまずいた竜馬には睛が入りました。牡馬の壁を破って3歳世代の頂点に飛び立つ時です。 (NHK解説者)

 ◇鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の80歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~04年に日本調教師会会長。JRA通算795勝。重賞27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。

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