【高松宮記念】マッドクール 大接戦で頭差しのぎ春のスプリント王 坂井「一番いい形で運べた」

[ 2024年3月25日 05:25 ]

<中京11R・高松宮記念>ナムラクレア(手前)との接戦を頭差で制したマッドクール (撮影・亀井 直樹) 
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 激戦を制し、新スプリント王者に輝いた。「第54回高松宮記念」が24日、中京競馬場で行われ、雨中の重馬場決戦で6番人気マッドクール(牡5=池添)が道中3番手から抜け出し、G1初制覇を飾った。坂井瑠星(26)が完璧な騎乗で相棒の力を引き出し、人馬一体のパフォーマンス。15年開業の池添学師(43)は22年ホープフルS(ドゥラエレーデ)以来、2度目のJRA・G1制覇となった。

 熱い思いが込められた騎乗だった。最後の直線、マッドクールが内ラチ沿いを突いて伸びる。鞍上の坂井が懸命に手綱をしごいて残り1F、気合の右ムチを1発。その鼓舞に応え、雨を切り裂くように加速する。ゴール前、外からぐんぐん接近した強敵ナムラクレアを頭差で振り切り、G1初Vのゴールへ飛び込んだ。坂井は「昨年の秋(スプリンターズS2着)は悔しい思いをしました。もうコンビを組めなくてもおかしくはなかったが、またコンビを組ませてもらい、そこで結果を出すことができた。リベンジができてうれしい」と喜びをかみしめた。

 1枠2番から好スタートを切ると促しつつ、逃げた香港馬ビクターザウィナーを徹底マークする形。道中3番手を確保した。「この馬のことは一番分かっているつもり。勝つならスタートを決めてハナ(逃げ馬)の後ろを取ろうと。自分が思っている中で、一番いい形で運べた」。リズム良く、手応えのある中で我慢させる。直線に入ると荒れ馬場を避けるため、外めに進路を切り替える馬が多い中、相棒のパワーを信じて内々にこだわった。「内ラチのギリギリを攻めて馬場が悪い中でも、しっかり脚を使ってくれた。最後は後ろから凄い勢いで(2着馬が)迫ってきたけど、何とかしのぎ切ってくれた。馬を称えたい」とねぎらった。

 2歳春に右前脚を剥離骨折し、同世代と比べてデビューが遅れた。脚元に不安を抱えながらの調整だったが素質は一級品。坂井はコンビ2戦目となった22年5月28日の未勝利戦を勝った後、陣営に「高松宮記念に行きましょう」と将来性を感じるからこそ高く目標を掲げ、進言した。あれから2年弱で有言実行。年齢を重ねるとともに少しずつ体質が強化され、完成形に近づいている。池添師は「元々、ポテンシャルが高い。デビューが遅く、当時は緩さもあったが、その中でも調教は素晴らしかった。まだ完成ではないが徐々に良くなっている。トモの緩さが取れて、さらに脚元がしっかりしたら、もう一つ上を目指せる」とさらなる成長に期待を寄せた。

 次は香港でリベンジか。今後のプランは未定だが昨年12月の香港スプリント(8着)に続き、既にチェアマンズスプリントプライズ(4月28日、シャティン)の招待が届いている。池添師は「あとひと月ちょっとなので馬の様子を見ながらオーナーと相談して(受諾するか)決めます」と明かした。昨秋の悔しさを晴らし、スプリント界の頂点へ。伸びしろ十分の快速馬はこの先も進化し続ける。

 マッドクール 父ダークエンジェル 母マッドアバウトユー(母の父インディアンリッジ)19年3月29日生まれ 牡5歳 栗東・池添厩舎所属 馬主・サンデーレーシング 生産者・アイルランドのモイグレアスタッドファーム社 戦績12戦6勝(重賞初勝利) 総獲得賞金3億3346万6000円 馬名の由来はマドリードで夏に開催される音楽フェスティバル。

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