【ボートレース下関PG1 第10回ヤングダービー】大山千広 女子初の頂点へ一直線

[ 2023年9月17日 10:00 ]

女子で唯一ヤングダービー優出経験がある大山千広

 今や大会に女子は欠かせない。第6回以外は誰かが予選突破している。ただ、女子の優出はわずか1回。第5回大会で初めて優勝戦の出走表にハートマークが付いた。壁を打ち破った唯一の女子が大山である。

 母の大山博美さんは名レーサーとして活躍した。DNAを受け継いだ千広はデビュー時から大物感満載。モノが違うと言う関係者は多かった。女子頂点に輝いたのも必然。女子初のヤングダービー制覇を成し遂げても驚きではなく納得だ。

 「あと何回出られるか分からないし、今回でラストかもしれません。だから、優勝戦だけを目指します」

 自身も歓喜の夜を強く意識している。思えば今年は大ケガから復帰した年だった。昨年10月のまるがめで骨盤骨折。長期離脱を余儀なくされた。2月のG2蒲郡レディースオールスターで復帰。いきなり優出するとはやはりモノは違った。

 「優出はたまたまです。復帰してすぐは体が戻らなかったし、練習もできなかったんですよ。今は体も戻ったし、以前とも変わりません。不安はないです」

 最初はギャップに苦しんだ。思うように体が運ばない。それでも走ることが最良の薬。次第に感覚を取り戻し、復帰6節目で優勝にこぎつけた。その後も順調に好成績を積み上げ、すっかり以前の姿に回復。近況リズムも上々のようだ。

 「いいエンジンを引けていない割には、ペラも合っていると思います。今の時季は一番好きですよ」

 体もリズムも不安はない。何より大会へのモチベーションが最高。下関という舞台設定が後押しする。

 「下関は好きです。海水が好きというのもあるし、回らないところが好きなんです。合わせやすくて、出足が良くなりますね」

 これだけのコメントを聞くと、女子に立ちはだかる壁など都市伝説だ。遠藤エミがSGを制覇した今、女子のヤンダビ王が誕生しても何の驚きもない。同県で2期上の先輩である羽野直也にも刺激を受けた。「羽野さんはSGを獲ると思っていたし、いつか自分も獲りたいと思いました」。6人が出場する女子のエースは間違いなく大山。歴史の扉は今か今かと口を開けて歓喜の瞬間を待っている。

 ◇大山 千広(おおやま・ちひろ)1996年(平8)2月5日生まれ、福岡県出身の27歳。2015年5月に116期生として福岡でデビュー。2016年4月の若松で初1着。同年11月のびわこで初優出。2017年9月の福岡で初V。2019年のレディースチャンピオンでG1初V。通算19V。2019~2021年のトップルーキー。1メートル61、血液型O。

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