【スプリンターズS】ジャンダルム母子制覇 荻野極はG1初V

[ 2022年10月3日 05:30 ]

<中山11R スプリンターズS>内から抜け出しG1初制覇を果たしたス荻野極騎乗のジャンダルム(左) (撮影・西川祐介)
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 秋のG1シリーズ開幕戦「第56回スプリンターズS」が2日、中山競馬場で行われた。8番人気ジャンダルムが3番手から直線抜け出し、ウインマーベルの追い込みを首差しのいで優勝。鞍上の荻野極(25)と共にG1初制覇を飾った。管理する池江泰寿師(53)は19年大阪杯(アルアイン)以来となるG121勝目。1番人気メイケイエールは14着に敗れて3連単は46万超の高配当となった。

 偉大なスプリント女王を母に持つジャンダルムが7歳にしてG1初制覇。02年の母ビリーヴから20年、レース史上初の母子制覇だ。

 自身が2番枠から抜群のスタートを切る一方、最内枠でハナ想定のテイエムスパーダはダッシュがつかず、先頭に立つまでにかなり脚を使った。外からファストフォースが競りかけて前半3F32秒7。前を行く2頭から3馬身ほど離れた3番手で、荻野極ジャンダルムはピタリと折り合った。「課題のスタートを出てくれたし、道中も凄くスムーズに運べた」と荻野極。4角で早々とテイエムに並びかけると、直線早めに抜け出した。「手応え通りしっかり伸びてくれた。7歳だけど気持ちも体も充実している。この馬の力を発揮することができました」と喜んだ。

 幼少期から空手に打ち込んだ荻野極は09年有馬記念を見て騎手を志した。池江厩舎ドリームジャーニーが勝ったレースだ。その池江厩舎と縁があってジャンダルムに騎乗、今年3月のオーシャンSで重賞初制覇を飾ると2つ目の重賞が人馬ともG1初制覇。「うれしい。オーナー、調教師はじめ関係者、そしてファンの皆さまに感謝の気持ちでいっぱいです」と相好を崩した。

 秋春スプリントG1覇者の母ビリーヴは03年引退後に渡米して繁殖入り。6頭の産駒を出し、15年に生まれた一番最後の子がキトゥンズジョイ産駒のジャンダルム。キャリアは個性的だ。2歳時に新馬、デイリー杯2歳Sと連勝。2000メートルのG1ホープフルS2着。翌年は皐月賞9着、ダービー17着とクラシック路線を歩んだが、ダービーでの大敗後はマイル以下のレースにシフト。さらに21年春雷S以降は1200メートル戦に限定。そこから9戦連続でスプリント戦に挑み、通算29戦目にしてG1タイトルに手が届いた。

 池江師は「感無量です。デビュー前からたくさんのファンに応援してもらったのに、大舞台で結果を出せず悔しい思いをしてきた。元々スプリント適性は高いと思っていたが、ホープフルSで2着に入ってクラシックを目指した。かわいそうなことをしてしまった」と感慨深げに振り返り、「7歳なのであとはいかに種牡馬としての価値を高めるか」と付け加えた。母も成し遂げた秋春スプリントG1連勝を果たせば、種牡馬入りにこれ以上ない土産となる。

 ◇荻野 極(おぎの・きわむ)1997年(平9)9月23日生まれ、東京都出身の25歳。16年3月デビュー。同期は藤田菜七子、坂井瑠星、菊沢一樹ら。中学生時代に空手の世界大会4位。JRA通算3133戦172勝(2日現在)。1メートル61、50キロ。血液型O。

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