【川崎】騎手紹介⑧ 地方への武者修行で開花 2年目・池谷匠翔の目標は所属厩舎の馬で重賞勝利

[ 2021年10月11日 12:00 ]

伸び盛りの2年目・池谷匠翔
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 池谷匠翔(たくと、19)はデビュー2年目で伸び盛りのジョッキーだ。ルーキーだった昨年は、JRAと地方競馬の若手騎手が腕を競い合うヤングジョッキーズシリーズでファイナルラウンドに進出。今年の同シリーズでもトライアルラウンド突破を目指して奮闘を続けている。

 父は元体操選手でタレントの池谷直樹で、おじはタレントの池谷幸雄。自身も中学まで体操をしていたが、父の友人の馬主から「体格的に合っている」と勧められ、「もともと動物とスポーツが好きだった」ということもあって競馬の世界に飛び込んだ。

 18歳だった20年4月にデビューしたが、初勝利までの道のりは険しかった。川崎ではデビュー2カ月で勝ち星を挙げられず、同年6月から佐賀競馬場で期間限定騎乗することになった。この〝武者修行〟で開花した。6月13日、初騎乗から44戦目に1番人気のエーティーキンセイで期待に応えた。その前日には同期の古岡勇樹騎手が川崎で初勝利を挙げていた。「焦りもあった次の日に勝てたので良かった」。それから1年以上たっても、最も思い入れのあるレースはこの騎乗だという。

 佐賀競馬の後はホッカイドウ競馬でも騎乗した。「競馬場によっていろいろ特徴があるというのが分かりました。佐賀だったら内を空けるとか。門別では調教で坂路が使えるので勉強になりました。佐賀も門別も右回り(川崎は左回り)なので、それも生きていると思います」。9カ月に及んだ修行で一回り大きくなった。

 今年8月3日には落馬に巻き込まれ腰椎(ようつい)横突起骨折を負ったが、約1カ月後には復帰。「ヤングジョッキーに出たかったので、出来る限り早く退院してリハビリしていました」。9月7日に盛岡で行われたヤングジョッキーズシリーズでは、7着で最低限のポイントは確保した。復帰7戦目には勝ち星を挙げ、13日に地元・川崎で騎乗予定の同シリーズに照準を合わせる。

 休日は趣味の釣りに出掛けたり、外出しないときはシューティングゲームの「エーペックスレジェンズ」などに興じている。また、動物好きとあって「サバンナモニター」という種類のトカゲを飼っている。「自分でマークをつくっているのですが、そのモデルのトカゲです。まだ小さいのでオスかメスか分からないのですが、多分オスだと思います」。今はトカゲが何よりの癒やしになっている。

 目標としているのは、同じ川崎の町田直希騎手。「馬との折り合いやレース展開の読み」が手本になるという。町田は池谷が所属している内田勝厩舎の馬に騎乗することも多いため、乗り替わりのときなどは積極的にアドバイスを受け、自らのレベルアップにつなげようとしている。

 免許取得後5年未満で通算100勝以下の騎手は、見習い騎手扱いとして負担重量が減量される。池谷は「なるべく早く自分で減量を返したい」と100勝を一つの通過点にしている。それと並行して目標にしているのが「内田厩舎の馬で重賞を勝つこと」だ。そのためにも全ての騎乗が勝負となる。

 「まだ無観客ですけど、1鞍1鞍、画面の前のお客さんに向かって一生懸命騎乗するので、応援よろしくお願いします」。あどけなさの残る20歳だが、その奥には強い意志と不屈の闘志を持ち合わせている。

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2021年10月11日のニュース