【函館新馬戦】レッドラディエンスは藤沢和師絶賛の“金の卵”、現役最後の夏に送り出す優等生

[ 2021年8月3日 05:30 ]

Road to 2022

アルゼンチン血統を持つディープインパクト産駒のレッドラディエンス
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 名伯楽も絶賛する“金の卵”だ。うわさの2歳馬レッドラディエンス(牡、父ディープインパクト)が8日の函館5R・新馬(芝1800メートル)にルメール騎乗で出走する。来年2月で70歳定年引退を迎える藤沢和雄調教師(69)が送り出すアルゼンチン牝系の逸材。現役最後の仕事として育成を進め、後継調教師に来春のクラシックを託す構えだ。

 競馬のレジェンドが現役最後の夏に送り出す2歳牡馬を頼もしげに見つめている。その熱い視線に促されるようにレッドラディエンスが函館Wコースで加速した。480キロ前後の流麗な黒鹿毛が弾むようにフットワークを伸ばす。父ディープインパクト譲りのしなやかな身のこなし。「実にいい馬。私は来年のクラシックに行けないけど、この馬は行けそうだな。しっかり育てて、来年は誰か(次の調教師)にやってもらいたい」。その1週前追い切り(7月28日)を見届けると、藤沢和師は満足そうに切り出した。

 「これまでは学校で授業中によそ見して先生に叱られるような新馬が多かったけど、この馬はちょっと違う。2歳夏の牡馬にしては物分かりがいい。まだ子供だけど、真面目で素直な男の子だよ」。擬人法を多用する藤沢節で評価すると、前回の東京五輪が開催された57年前の流行語を口にした。「金の卵みたいな馬。しつけのいい競走馬にするのが私に与えられた最後の仕事」。“金の卵”とは未成熟でも高い潜在能力を持ち、前途有望なものの比喩。前回東京五輪の64年当時は集団就職で地方から上京し、高度経済成長を支えた若年(中卒)労働者を指した。競馬で用いる“金の卵”は来年以降のターフ界を支えていける高い潜在能力のたとえだ。

 「マカヒキ(ダービー馬)やサトノダイヤモンド(菊花賞、有馬記念馬)と同じアルゼンチンの(牝系)血統だからね。ペルーサ(同師が育てた天皇賞・秋2着馬)もそうだった」と藤沢和師。アルゼンチンの牝系からはダノンファンタジー、サトノレイナスも出現し、今、最も注目されている血統だ。レッドラディエンスの母ペルフォルマーダはアルゼンチンオークス3着馬。7月16日に函館入りした後もアルゼンチン血統の威力を示すように覇気のこもった動きを見せている。担当の大江原助手は「感度が高いので急がせないように先生(藤沢和師)から言われています。素質は相当高いから来年につながるようにやっていきたい」と言う。

 来春には孵(ふ)化するように金の卵を託されたラストサマー。「競馬の調教師というより馬の育成係だな(笑い)。恩返しのつもりでやりますよ」。引退まで残り半年余、2歳馬の育成が競馬のレジェンドの集大成になる。

 《次週開幕札幌競馬でも2歳勢デビュー予定》藤沢和厩舎最後の2歳勢は次週開幕する札幌競馬でもデビュー予定。キャンディドライヴ(牡、父キャンディライド)、スピードグラマー(牝、父イントゥミスチーフ)、シーヴィクセン(牝、父イントゥミスチーフ)の米国産馬3頭。「どれもファンタストクラブ(北海道日高町)で乗り込んで7月下旬から札幌で調教を積んでいる。(米国のセリで3頭とも購入した)長谷川オーナーはデルマー(11月5日に同地で開催される米ブリーダーズC)を視野に入れているようだ」と同師は語る。出走レースは未定だが、この3頭のうち仕上がりの良い2頭を札幌新馬戦に送り出す。

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2021年8月3日のニュース