【ユニコーンS】スマッシャーがレースレコードV!吉岡師開業2年目で重賞初制覇「自信ありました」

[ 2021年6月21日 05:30 ]

ユニコーンSを制した坂井騎乗のスマッシャー(撮影・西川祐介)
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 東西のお立ち台を新顔がジャックした。東京で行われた3歳ダートG3「第26回ユニコーンS」は、7番人気のスマッシャーが鮮やかな差し切りV。管理する吉岡辰弥師(45)は、開業2年目でうれしい重賞初制覇を飾った。阪神の牝馬ハンデ重賞「第26回マーメイドS」は10番人気シャムロックヒルが軽量50キロを生かして逃げ切りV。鞍上の藤懸貴志(28)はデビュー11年目で悲願の初タイトルを手にした。

 スマッシャーとは「粉砕する者」。初のマイルも何のその。馬名通り、直線で鋭いロングショットを決めライバルを打ち砕いた。「しまいの脚がしっかりしているので、東京の千六は間違いなく合うと思っていた。素晴らしいレースをしてくれた」。鞍上の坂井は端正なマスクを崩さず、淡々と振り返った。

 道中は中団を追走。直線入り口では馬群に包まれていたが、前が空くとエンジン全開。先に抜け出して粘るサヴァを一完歩ごとに追い詰め、残り50メートルで捉えて1馬身突き放した。1分34秒4は昨年Vのカフェファラオを0秒5上回るレースレコード。「いい脚だったので、進路ができてからは届くだろうと自信を持って乗った。速い時計が出る馬場とは思っていたが、レコードで勝てたのは力のある証拠」と愛馬を称えた。

 デビュー6年目の坂井はこれでJRA重賞7勝目。すっかりお立ち台の常連となった。一方、管理する吉岡師は開業2年目で重賞初制覇。「今日は自信がありました。千四で勝ってきたが、追走が忙しい感じだったので距離が延びた方がいいと思っていた」と静かに喜びをかみしめた。

 デビュー前は「細くて弱い馬だった」というスマッシャー。砂血統ながらパワー不足を考慮して芝でデビューさせたほど。そこからじっくりと調教を積み「レースを重ねるごとに体も増えた。(1月の)未勝利を勝った時点から、ここを目標にやってきた」。調教助手時代は今年2月に解散した角居厩舎で研鑽(けんさん)を積んだトレーナー。名馬を次々と育て上げた師から学んだ馬本位の調整で、焦らず成長を促し、大目標で見事に素質を開花させた。

 今後についてはレースこそ明言しなかったが「重賞を勝ったので、さらに上を目指したい。距離を延ばすかも含め、オーナーやジョッキーとも相談して決めていきたい」と話した。直近6年の優勝馬が全て、後にG1制覇を果たしている出世レース。新進気鋭トレーナーの瞳の奥には、大舞台で速く鋭いスマッシュを打ち込む愛馬の姿が映っている。

 ◇吉岡 辰弥(よしおか・たつや)1976年(昭51)3月2日生まれ、京都府出身の45歳。93年に競馬学校厩務員課程に入学。同年7月から藤岡範、角居、中竹厩舎を渡り歩いた。20年開業。調教助手時代に所属した角居厩舎ではサートゥルナーリアを担当した。

 ◆スマッシャー 父マジェスティックウォリアー 母スマッシュ(母の父キングカメハメハ)18年4月6日生まれ 牡3歳 栗東・吉岡厩舎所属 馬主・ヒダカ・ブリーダーズ・ユニオン 生産者・北海道浦河町の宮内牧場 戦績8戦3勝(重賞初勝利) 総獲得賞金5722万3000円。馬名の由来は「粉砕者」。

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