【天皇賞・春】ウインマリリンが牡馬の壁破る!輝く毛ヅヤ“絶牝”悠々最終追い

[ 2021年4月29日 05:30 ]

ウッドチップコースで追い切るウインマリリン(撮影・郡司 修)
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 ノックは無用!春の古馬最高峰決戦「第163回天皇賞・春」の最終追いが28日、東西トレセンで行われた。33年ぶりに日経賞の牝馬Vを飾ったウインマリリンが美浦で躍った。68年ぶり天皇賞・春の牝馬Vを目指して牡馬の厚い扉をぶち破る!手塚貴久師(56)が前人未到の天皇賞・春3連覇に挑めば、横山武史(22)は皐月賞に続くG1連勝にチャレンジ。出走馬と枠順は29日、確定する。

 壮大な挑戦にも、静を貫いた。朝一番にWコースに登場したウインマリリンは単走で終始馬なり。5F69秒0~1F12秒5。遅めの時計だが、これでいい。フィニッシュ前に弾むような脚さばきで、グンと加速した。春の日差しにピカピカに輝く毛ヅヤが好調の証だ。手塚師が納得の表情で切り出した。

 「1週前に強い調教をしている。今週は阪神への輸送もあるので、時計は速くなく最後伸ばす感じ。いい感じで動けている。日経賞も良かったけど、いい状態を保っています」

 日経賞は早め先頭から押し切る横綱相撲。その後は熟慮の末に盾参戦に踏み切った。

 「宝塚記念は季節柄、雨の心配もある。それに宝塚予定の馬たちと比べても、天皇賞には絶対かなわない馬もいない。昨春もこの時季に調子を上げて頑張ってくれたから」

 指揮官は理路整然と続けた。昨春は4月フローラSで重賞初Vを飾り、オークス(2着)で3冠牝馬デアリングタクトに半馬身差の奮闘。春はマリリン。今年も日経賞を勝ち、1週前にはNHKマイルC出走予定のシュネルマイスターと併せる充実ぶり。勝てば53年レダ以来、68年ぶりの牝馬による天皇賞・春制覇。ハードルが低くないことは承知の上で、ここを上半期最終戦に定めた。

 「3200メートルのG1で定量戦。牝馬には出ること自体、勇気がいることだろうと思う。前走の53キロから56キロの重量増など確かに課題はある。ただ、彼女自身は3200メートルは十分に守備範囲。中山のタフな2500メートルをこなしたので(例年の)京都に比べると阪神も向くと思う」

 1週前追いの手綱を取った横山武も、再会を心待ちにしている。18日の皐月賞(エフフォーリア)で念願のG1初制覇。こちらも愛馬に負けない勢いだ。「初めて重賞(昨春フローラS)を獲らせてくれた馬。スタミナ自体は問題ない。折り合い面をクリアして、何とかいい競馬ができれば」と気合を込めた。

 管理する手塚師にとって、19、20年フィエールマンに続き、天皇賞・春3連覇の偉業も懸かる。「彼(武史)はデビューする前から、一番勝ちたいレースは天皇賞・春と言っていました。思う存分、今の勢いをぶつけてほしい」。誰もが見とれるトップスターへの輝き。歴史的偉業へ機は熟した。

 ≪67年間牝馬の勝利なし≫昨年の芝古馬混合G1は牝馬の10戦9勝。唯一勝てなかったのが天皇賞・春。このレースの牝馬は苦難の歴史だ。グレード制導入の84年以降、23頭の牝馬が挑戦して掲示板(5着以内)もない。豪州の名牝マカイビーディーヴァ(05年)、日経新春杯覇者メイショウベルーガ(10年)らは期待を集めたが、牡馬の厚い壁に跳ね返された。古馬牝馬が定量56キロを背負う混合G1は春秋天皇賞と安田、宝塚のみ。そのなかで最長となる3200メートルの距離では、56キロがズシッとこたえる。初56キロとなるウインマリリンも重量の克服が鍵となる。

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