【21年注目の女子レーサー】フィギュア経験者の平川香織、女王へアクセル全開「7月には絶対A級」

[ 2021年1月2日 09:45 ]

笑顔でフィギュアスケートの決めポーズをとる平川香織(撮影・村上 大輔)
Photo By スポニチ

 新年はこだわり系女子レーサーに注目!今年、飛躍が期待される公営競技の女子レーサーを特集。ボート界からはフィギュアスケート出身の平川香織(20=埼玉)。小学校ではあの羽生結弦と同じリンクで練習した素材。氷上から水上へとステージを変えたが、トップへのこだわりは譲れない。

 「トップに立って若い時から輝きたい」。氷上で夢見たシンデレラストーリーは水上でかなえる。平川は6歳からフィギュアスケートを始め、大会にも数多く出場。羽生結弦(26=ANA)のコーチとしても有名な都築章一郎さんの娘・奈加子さんに師事し、その縁で羽生と一緒に練習したこともある。開智日本橋学園中学では樋口新葉(19=明大)と同級生。リンクは違ったが、ともに切磋琢磨(せっさたくま)した。

 しかし、思い描いたような成績は残せなかった。「フィギュアを始めた頃はいつかトップになれるものだと思っていました。でも競技をやっていくうちに、このまま続けても五輪に出られる気がしないと思って…。悔しかったです」

 初めての挫折。そんな時、希望となったのがボートレースだった。ファンだった父・和重さんに連れられ、幼い頃から何回も戸田を訪れていた。「小さい頃はキッズコーナーで遊ぶのが楽しみでしたが中学からはレースも見るようになりました」。氷上で何度転んでも立ち上がった負けず嫌いの性格。勝負の世界は性に合う。さらに最短16歳でデビューできるのが最大の魅力だった。「若い時から活躍できれば注目してくれるかな、輝けるかな、と思いました」。目指す道が決まった。17年、2度目の受験でボートレーサー養成所に合格した。

 18年5月、17歳でプロデビュー。19年8月に初1着。これまで4度、予選突破を果たすなど着実に成長中だ。「最初はスタートで勝ちたいという思いが強過ぎました。今はスタートが全てではない。3周2マークまでレースがあるんだ、と思えるようになりました」と手応えを口にした。

 それでも満足はできない。「理想には、程遠い成績です。ペースがだいぶ遅れている」。今年、掲げた目標はクイーンズクライマックス出場。女子の賞金ランキング上位12人だけが出られる栄光の舞台だ。「7月には絶対にA級に上がっていたい。優勝もしたい」とアクセル全開の活躍を誓った。いざ、女子の頂点へ。さらにボート界のNo・1を目指し、パーソナルベストを出し続ける。

 ≪NiziUに夢中≫平川の趣味は音楽鑑賞。オンとオフの切り替えを明確にするため、レース中の宿舎では聴かないという。オーディションを勝ち抜いて結成された女性9人組「NiziU(ニジュー)」が最近のお気に入り。また、お菓子作りも楽しみの一つ。「甘いものが好きなんです。ただ、太るのも嫌なのでヘルシーに作っています。砂糖を少なくしたり工夫するのが楽しい」と、こだわりを披露した。

 ≪羽生と一緒に練習も「お兄ちゃんみたい」≫フィギュアスケートを通じ、小学生の頃から羽生結弦や樋口新葉と交流があった平川。羽生について「優しくてお兄ちゃんみたいな感じでした。当時から凄い才能で、やればできちゃうイメージ」と語った。樋口とは今でも連絡を取り合うという。「最初は自分が大会で勝つことの方が多かった。でも小4の時、自分がダブルアクセルの練習をしていたら、新葉が3回転ジャンプに成功したんです。今でも忘れられません」と衝撃エピソードを明かした。

 ◆平川 香織(ひらかわ・かおり)2000年(平12)7月29日生まれ、東京都出身の20歳。埼玉支部所属の122期生として18年5月戸田一般戦でデビュー。19年8月からつ一般戦で初1着。同期は畑田汰一、安河内健、計盛光ら。1メートル51、46キロ。血液型B。

 ▽女子ボートレーサー 1952年のボートレース初開催(大村)当時から女子が在籍。53年「第1回全日本選手権競走」では3人の女子が出場した。54年には女子限定戦が行われた記録も。その後、減少傾向だったが80年、鈴木(当時は田中)弓子が9年ぶりに女子レーサーとしてデビュー。87年「第1回女子王座決定戦」の初代クイーンに輝いた。その後、女子戦の人気は右肩上がり。昨年12月15日時点で全体の約15%にあたる234人の女子選手が在籍している。

続きを表示

この記事のフォト

2021年1月2日のニュース