蛯名正義、調教師試験合格!トレーナーで悲願のダービー&凱旋門賞制覇へ

[ 2020年12月11日 05:30 ]

新規調教師免許試験合格者7人発表

新規調教師試験に合格した蛯名正義騎手(撮影・郡司 修)
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 悲願成就はトレーナーとして――。JRAは10日、令和3年度の新規調教師免許試験合格者を発表。G1・31勝(海外、地方含む)を誇る蛯名正義(51)ら現役騎手4人を含む7人が合格した。通算3度目の受験で難関突破を果たした名ジョッキーは、騎手時代にかなわなかった日本ダービー、凱旋門賞制覇へ、力強く意欲を語った。

 三度目の正直での合格。美浦トレーニングセンターで行われた記者会見、蛯名は晴れやかな笑顔で新たな夢を語った。ターゲットは騎手時代、ともに2着が最高だった日本ダービー(12年フェノーメノ、14年イスラボニータ)と、凱旋門賞(99年エルコンドルパサー、10年ナカヤマフェスタ)。「こうして調教師としてチャンスをいただけた。そこに、もう一回チャレンジできれば」。“悲願”の話題になると、言葉にひときわ熱がこもった。

 現役3位の通算2537勝。つかんだ重賞タイトルは129を数える。10年にはアパパネとともに牝馬3冠を達成した。日本を代表する名手は「ファンから“騎手をやめないで”とメッセージをもらうこともある」と苦笑いも、「勝負の世界。できたことも、できなかったこともあった。ダービー、凱旋門賞もそう。手が届きそうなところまでいって勝てなかった。でも、その中で自分としては精いっぱいやった。悔いはない」。もう、前だけを見据えている。

 調教師としてのお手本には、1500勝トレーナーの藤沢和雄師を挙げた。試験挑戦にあたって、藤沢和厩舎で馬づくりを勉強。「馬への接し方など、先生を目標にしないといけない」と名伯楽が掲げる“馬第一主義”を継承する。「騎手としてたくさん応援していただいて、素晴らしいジョッキー人生だった。調教師としてもファンの皆さんに応援してもらえるように心がけていきたい」。愛された名ジョッキーは、愛されるトレーナーを目指す。

 同期生の天才・武豊と切磋琢磨(せっさたくま)し、01年には全国リーディングも獲得した「騎手・蛯名正義」は、来年2月28日にターフを去る。「これからもファンの方々に喜んでもらえる競馬を」。立場が変わっても、競走馬を通じて我々に感動をもたらしてくれるに違いない。

 ▼武豊 自分のことのようにうれしいですよ。エビちゃんとは競馬学校の時からずっと一緒にやってきましたから。今日の合格の知らせを聞いて、ふと思い出すのは数年前に「調教師を目指す」と第二の夢を語ってくれた時のこと。調教師合格までの道のりは決して平たんではなかったけど夢をかなえたわけですよね。今日は僕にも夢ができました。その夢が何か?というとエビちゃんとは同じ年の凱旋門賞(10年=蛯名ナカヤマフェスタ2着、武豊ヴィクトワールピサ7着)に騎乗しているので今度は調教師とジョッキーの競馬学校の同期生コンビで凱旋門賞に参戦したいですね。

 【ダービー以外の7タイトル勝利】蛯名はG1でJRA26勝、地方4勝、海外1勝を挙げている。国内8大競走のうちダービー以外は全て勝利。天皇賞・春3勝など、特に長距離戦での巧腕ぶりが光った。エルコンドルパサーとのコンビでは98年にジャパンCを制し、翌年には海外で活躍。00年には米国へ長期遠征するなど豊富な海外経験を持つ。

 ◆蛯名 正義(えびな・まさよし)1969年(昭44)3月19日生まれ、北海道出身の51歳。所属は美浦・フリー。87年3月1日、アイガーターフで初騎乗。同4月12日、ダイナパッションで初勝利。G1は96年天皇賞・秋(バブルガムフェロー)で初勝利。G126勝を含む重賞129勝。JRA通算2万1127戦2537勝(10日現在)。1メートル62、50キロ。

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