【エプソムC】6歳キャグニー 悲願の初重賞V!9日死去「ダイワ」オーナー大城氏へ捧ぐ

[ 2020年6月15日 05:30 ]

エプソムCを制した内田博幸騎乗のダイワキャグニー(右から2頭目)(撮影・西川祐介)
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 大オーナーにささげる悲願の初タイトル――。G1舞台を見据える中距離の個性派が集まった「第37回エプソムC」が14日、不良馬場の東京競馬場で行われた。2番手を進んだ9番人気ダイワキャグニーが早め先頭で押し切り、念願の重賞初制覇。9日に病気で96歳で他界した「ダイワ」の冠号で知られる大城敬三オーナーにささげる手向けの白星となった。阪神メインの牝馬重賞「第25回マーメイドS」も2番手を進んだ50キロの軽ハンデ馬サマーセントが重賞初Vを飾った。

 雨上がりの泥んこ馬場を乗り越えた先につかんだ悲願の重賞初タイトル。ダイワキャグニーの内田は、しんみり切り出した。

 「きっと、最後はオーナーが後押ししてくれたのかもしれません…」

 「ダイワ」の冠号で幾多の名馬を所有してきた大オーナーの大城敬三氏が9日に病気で他界していたことはレース前、関係者から知らされていた。だから心の中は燃えていた。悔いなきレースを…。「スタートして外の馬が速かったけど…。何が何でもの気持ちで、ある程度の位置は取りにいきました」

 手綱を押して、好位2番手へ。逃げまくるトーラスジェミニを残り1Fで早々と抜き、愛馬も左ムチの連打に応え、真っ先にゴールに飛び込んだ。他馬の影響を受けない位置で積極的に攻めた勲章だろう。不良馬場にもかかわらず、大城オーナーの青と白の名物勝負服は、わずかに泥がついている程度だった。

 オープン特別は5勝もしていたが、重賞挑戦は実に13度目で悲願成就。全8勝は東京。まさに“府中の申し子”だ。自身は16年連続重賞Vとなった内田は「ようやく、この馬も重賞を勝てて本当に良かった。同じ左回りでも、長距離輸送があった新潟大賞典(14着)とはパドックから雰囲気が違った」と愛馬を称えた。

 新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴い、レース後の表彰式は自粛中。キャグニーを生産した社台ファームの吉田照哉代表はテレビで声援を送り、大城氏との思い出を巡らせていた。

 「私のことを心から信用してくださいました。オーナーらしいオーナーでした。大井競馬時代からのお付き合い。(社台ファーム生産の)ダイワメジャー、スカーレット兄妹をはじめ、たくさんの馬を預かっていただきました。お悔やみ申し上げます」

 この日は阪神出張で不在だった菊沢師が「東京のカタカナのレースはなぜか走る」と常々語る個性派。G3を勝ったことでG2、G1…と夢は膨らむ。

 内田は「先生(菊沢師)からは今後は一度お休みとも聞いています。6歳だけど、まだ頑張れると思う。さらにタイトルを増やしていきたい」と目を輝かせて誓った。秋は東京の天皇賞やジャパンCの王道を歩むのだろうか。日本の競馬史を彩ってきた「青、白一本輪、白袖」の伝統の勝負服を誇りに、キャグニーの進撃は熱さを増していく。

 ◆ダイワキャグニー 父キングカメハメハ 母トリプレックス(母の父サンデーサイレンス)牡6歳 美浦・菊沢厩舎所属 馬主・大城敬三氏 生産者・北海道千歳市の社台ファーム 戦績24戦8勝 総獲得賞金2億2785万円。

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