復活通り越し「進化」 皇成年間100勝お祝い

[ 2019年12月20日 05:30 ]

 【競馬人生劇場・平松さとし】17日、茨城県土浦市で鹿戸雄一厩舎の忘年会が行われ、所属する三浦皇成騎手が壇上であいさつをした。「助けてくださる皆さんのおかげで、初めて100勝を達成することができました」。こう言うと、頭を下げて「ありがとうございました」と続けた。

 さかのぼること2日、15日の中山競馬場でヴィクトワールボスに騎乗して1着。これが三浦騎手自身初となる年間100勝目となるゴール。まるでそのお祝いのように有馬記念ではダービー馬レイデオロの騎乗が決まった。

 彼がデビューしたのは2008年。武豊騎手が20年間保持してきた新人最多勝記録を大幅に更新する91勝を挙げた。年間100勝も時間の問題かと思われたが、その後、苦戦。なかなかデビュー年の勝ち鞍を超えることができなかった。16年の夏の札幌では落馬で騎手生命を絶たれるか!?という大ケガを負った。度重なる手術とリハビリで丸々1年間休養。翌17年の札幌で復帰したが、この2年間はそれぞれ32、24勝とキャリア最少記録を更新してしまった。

 しかし、そこから不死鳥のごとくよみがえった。ケガなく通年で活躍すると、あれからたった2年で自己最多勝記録を更新し、100勝を達成。“よみがえる”を通り越して“進化”した姿に生まれ変わったと言っても良いだろう。

 そんな三浦騎手だが、私個人的にはデビュー2、3年目の09、10年の英国ニューマーケットへの遠征が印象に残っている。当時、私も現地入りし、かの地で一人汗を流す姿を目の当たりにした。慣れない英語に苦労しつつも毎朝、調教に騎乗し騎乗馬を探した。午後には積極的に厩舎作業。トレーニングも欠かさず、近くの馬の博物館にある木馬に乗った。馬以外に何もない小さな田舎町で、まさに馬漬けの日々を過ごした。

 当時まだ20歳になるかならないかという年齢。せっかくの初の欧州で遊びに行きたくならないのかと聞くときっぱり答えた。「毎日充実しています。遊びに来たわけではありませんから」

 あれから時間はかかったが、当時の経験も血となり肉となっての年間100勝だと信じたい。(フリーライター)

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2019年12月20日のニュース