【有馬記念】クロコスミア雪辱の時 最愛のパートナー北添助手と共に最後の大仕事

[ 2019年12月17日 06:30 ]

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<有馬記念>現役最後の大仕事へ…“鬼嫁”クロコスミアと最愛のパートナー北添助手
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 今年のメンバーで最も1着に飢えているのはクロコスミアかもしれない。17~19年、エリザベス女王杯で3年連続2着。同一G1の3年連続2着はワンダーアキュート(11~13年JCダート)に次いで史上2頭目。さぞ悔しい思いでいっぱいかと思いきや、北添裕哉助手(38)はイチロー氏の引退会見を引用して語った。「3回とも納得の仕上げで挑んだ結果。後悔などあろうはずがありません」 有馬記念

 「クロさん」と呼ぶ相棒との出合いは15年初夏。体重390キロ。「小さい馬だな。大丈夫かな…」と心配したが調教を始めると動きは悪くない。「デビュー前の調教に乗ってもらった勝浦騎手が“この馬走るよ。(函館、札幌の)2歳Sでもいい勝負するんじゃないか”って言ってくれたんです」。3戦目で初勝利。5戦目の札幌2歳Sで“予言通り”3着に好走。クロさんへの期待は半信半疑から、確信へと変わっていった。

 「ナイーブな馬。だからまずは人間の方が動じないように振る舞う。そこから始めて調教とかカイバの食べさせ方などを工夫していった」。試行錯誤しながら懸命に向き合った。4歳秋の府中牝馬Sで重賞ウイナーの仲間入り。そしてエリザベス女王杯3年連続2着へとつながっていく。前走の体重は448キロ。デビュー戦から50キロも増えた。

 通算32戦5勝。北添助手は「その全てが思い出。重賞を勝ち、G1でも頑張り、海外にも連れて行ってもらった。どのレースも鮮明に覚えています」。クロさんはどんな存在か?少し考えてから答えた。「一言で表すのは難しいですが“鬼嫁”ですかね。機嫌が悪いとプイッとして何も聞いてくれない。だから常に機嫌を損ねないよう接しています。既婚者なら分かってくれると思うのですが…」。苦笑しながら、一方でこうも付け加えた。「走るたびに引き出しが増えて、驚きの連続だった。一筋縄ではいかないところが面白く僕を飽きさせない。ずっと一緒にいたい。そう思わせる存在でした」

 足かけ5年、苦楽を共にしたクロさんとの別れが迫る。「今はまだ感傷的な気持ちはない。レースが終わるまでは、いつも通りに準備するだけ。終わって初めて寂しさを感じるかもしれません」。鬼嫁?いえいえ恋女房。最愛のパートナー北添助手と、クロさんは“婦唱夫随”で現役最後の大仕事に臨む。

 ◆クロコスミア 父ステイゴールド 母デヴェロッペ(母の父ボストンハーバー)牝6歳 栗東・西浦厩舎所属 馬主・大塚亮一氏 生産者・北海道浦河町の小島牧場 戦績32戦5勝(海外2戦0勝) 総獲得賞金3億2658万8000円。

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2019年12月17日のニュース