【スプリンターズS】タワー、闘争心&強力末脚!余力たっぷり12秒7

[ 2019年9月26日 05:30 ]

ウッドチップコースで追い切るタワーオブロンドン(撮影・郡司 修)
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 秋のG1シリーズ開幕を告げる「第53回スプリンターズS」(29日、中山)に向けて、25日、タワーオブロンドンが美浦南Wコースで追い切り、抜群の動きを披露した。サマースプリント王者として堂々と挑む一戦。東の名門・藤沢和厩舎の“我慢”の育成が実を結びつつある。“三度目の正直”でG1初制覇を目指す。同レースの出走馬は26日、枠順は27日に決まる。

 速い時計は本番まで取っておく。タワーオブロンドンは北村宏(レースはルメール)を背にWコースで単走。ゆったりとしたペースを刻み、手綱を押さえたまま4角へ。直線に入ると自然とストライドが伸びた。5F68秒9~1F12秒7と余力たっぷりのフィニッシュ。「間隔が短いので速い時計は出さない指示。自分がすべき仕事が分かっている馬。集中して走っていた」(北村宏)。ゴール前での蹄音はさすが。コースから戻ってきた時は落ち着き払っており、息も整っていた。まさにロンドンを闊歩(かっぽ)する紳士のようだ。

 名伯楽流の我慢が実を結ぶはずだ。藤沢和師は2歳時から非凡なスプリント適性を見抜いていた。だが、スプリント戦に絞ることはしなかった。「ルメールも早くから6Fが向くとは言っていた。だが、早い時期から1200メートルを使うと競走馬としての選択肢が狭まってしまう」。距離は詰めるより延ばす方が難しい。あえて厳しいマイル路線を歩ませた。

 “超ハイレベル”だった17年朝日杯FSで3着。これは収穫だった。「デビュー前からハミ受けの強いスピードホースだったがルメールが脚をためる競馬を教えてくれた。レースを使うごとに走りが良くなっていった。今が一番いい体つき」。ダノンプレミアム、ステルヴィオ、ケイアイノーテック、ダノンスマッシュ…。現4歳世代を代表する強豪とマイルの舞台でしのぎを削った経験が今の活躍の礎となった。

 時は来た。スプリント解禁。今年に入り、短距離路線へシフトした。7Fの京王杯SC(東京)で1分19秒4。前走は6FのセントウルS(阪神)で1分6秒7。2度、コースレコードを樹立した。「前回は本当に強かった。スピードがあるのは分かっていたが、だんだんと短い距離に慣れてきた」(同師)。

 マイルを使って覚えさせたから制御も利く。決してスピード任せの馬ではない。だから強い。初参戦となる中山は、まさに“我慢”で培った操縦性が存分に生きるトリッキーな舞台。「コントロールが利くし大丈夫。他の強い馬ともいい勝負ができると思う」。手塩にかけて育てた快速馬。本領発揮の6F戦でスピードを爆発させる。

 【夏王者の勝利なし】サマースプリントシリーズ王者は創設以降、12頭が同年のスプリンターズSに挑み、いまだ勝ち星はない。1番人気で2着だった07年サンアディユ、2番人気で2着だった13年ハクサンムーンが最高着順。2年連続でサマースプリント王者に輝いたカノヤザクラ(08、09年)とベルカント(15、16年)もスプリンターズS制覇ならず。タワーオブロンドンが新たな歴史を切り開くか。

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2019年9月26日のニュース